腰痛を防止したいのに
「何をどれくらいやれば良いのか分からない」
「筋トレで悪化しないか不安…」
そんな悩みを抱える方に向けて、整形外科・整骨院・パーソナルジムで14年間、腰痛改善をサポートしてきた専門家が、初心者でも安全に始められる腰痛防止筋トレをまとめました。
今日から自宅でできる正しいやり方と、避けたいNG動作まで分かりやすく解説しています。
まずは無理のない1種目から、一緒に体づくりを始めましょう。
結論|腰痛防止には体幹主導の安全な筋トレが最も効果的です

筋トレが腰痛防止に最も効果的だという結論は、教科書の知識だけではなく、私自身が現場で何度も感じてきたことでもあります。
整形外科で働き始めたばかりの頃、痛みが落ち着いたクライアントに
「しばらく安静にしましょう」
と指導してしまい、結果的に筋力低下で回復が遅れた経験があります。
当時の私は、動かさないほうが安全だと思い込んでいました。
実際にはその逆で、痛みが落ち着いた段階で体幹主導の安全な動きを取り戻すことこそが、腰痛を防ぐ最短ルートです。
今日から意識したいのは
「姿勢」「腹圧」「股関節」
これらが整うと、腰は驚くほど軽くなります。
「休むだけ」では腰痛は防止できない理由
もちろん、痛みが強い急性期には、動きを制限したほうがいい場面もあります。
ただ、多くの方は「痛くなったらとにかく安静に」という考えのまま、痛みが引いたあとも運動習慣を持たずに過ごしてしまいます。
そうすると、
- 腰まわりと体幹の筋力が落ちる
- 血流が悪くなり、筋肉がこわばりやすくなる
- ちょっとした動作でまた腰に負担が集中する
という負のループに入りやすくなります。
実際に、私のクライアントでも
「痛い間は安静、治ったらそのまま放置」
を繰り返していた方ほど、数年単位で腰痛を何度も再発させているケースが多いと感じます。
一方で、痛みが落ち着いた段階から体幹を中心としたやさしい筋トレを少しずつ取り入れた方は
「前ほど怖くなくなった」
「長時間座っていても楽になった」
と話されることがとても多いです。
今日から意識したい3つのポイント(姿勢×腹圧×股関節)
腰痛防止の筋トレと聞くと
「とにかく筋肉を追い込めばいい」
とイメージされがちですが、実はそうではありません。
大事なのは、次の3つをセットで意識することです。
- 姿勢(背骨と骨盤のニュートラルポジション)
- 猫背や反り腰のまま動くと、いくら筋肉があっても腰に負担が集中します。
- まずは「真っすぐ立つ・座る」ができるだけでも、腰痛リスクは大きく下がります。
- 腹圧(おなか全体でお腹まわりを守る力)
- 腹横筋や多裂筋といった体幹の筋肉が働くと、コルセットのように腰を支えてくれます。
- 同じ種目でも、腹圧が入っているかどうかで腰への負担はまったく別物になります。
- 股関節(「腰」ではなく「股関節」で曲げ伸ばしする意識)
- 前かがみになる動きやしゃがむ動作を、腰からではなく股関節から行うことで、腰が無理に曲がったり反ったりするのを防げます。
- 日常生活でも、この意識があるだけで「かがむ動き」のたびに腰を守ることができます。
実際に、長年腰痛で悩んでいたデスクワーク中心の30代男性のクライアントは、きつい筋トレではなく、
姿勢・腹圧・股関節の3つを意識した体幹トレーニングを週2〜3回続けただけで
数ヶ月後には「朝起きたときの重だるさがほとんどなくなった」と話してくれました。
このように、腰痛防止のカギはガンガン鍛えることではなく、
体幹を主役にして、腰だけに負担をかけない動き方を身につけることにあります。
この記事では、具体的な自宅メニューや、ジムでの種目、やってはいけないNG筋トレまで順番にお伝えしていきますので
休むだけでは予防にならない
体幹主導で動くことが、腰痛防止の核心
という2つを頭の片隅に置いて読み進めてみてください。
なぜ筋トレで腰痛を防止できるのか|仕組みをやさしく解説

腰痛を防ぐうえで筋トレが効果的なのは、筋肉が強くなるからだけが理由ではありません。
正しく身体を動かすための準備として
体幹が安定し、姿勢が整い、股関節がスムーズに動くという3つの条件がそろうことで、腰に不要な負担がかからなくなります。
私が14年間、整形外科クリニックで多くのクライアントを見てきたなかでも、
この3つがそろった瞬間に腰痛が改善へ向かうケースを何度も経験してきました。
ここでは、筋トレがなぜ腰痛防止に直結するのかを、身体の仕組みと臨床経験を交えてわかりやすくお伝えします。
体幹(腹横筋・多裂筋)が天然のコルセットとして腰を守る
腰痛防止において最も重要なのが、腹横筋と多裂筋という体幹の深層筋(インナーユニット)です。
腹横筋はお腹全体を包むように付着し、多裂筋は背骨一本一本を支えるように働きます。
この2つが連動して働くと、腰まわりが天然のコルセットのように固定され、動作中の腰のブレが大きく減ります。
臨床でも、この体幹の安定性が不足している方は、軽い前屈や長時間の座位でも痛みが出やすい傾向があります。
逆に、腹圧(お腹まわりの圧力)を適切に入れるトレーニングを行ったクライアントは、
同じ姿勢でも腰の負担が明らかに軽くなり、痛みの出にくい体に変わるケースが多いです。
筋トレは、この腹横筋・多裂筋を狙って活性化させる唯一の方法であり、腰痛防止の土台づくりに欠かせません。
姿勢改善で腰への負担が大幅に減る
腰痛の大きな原因のひとつが、姿勢の崩れです。
猫背、反り腰、骨盤の後傾・前傾が強い状態では、腰椎に不自然な負担がかかり続けます。
筋トレで体幹や背中・お尻の筋肉が働き始めると、背骨と骨盤が本来のニュートラルに近づき、腰への負担が大幅に改善します。
私が臨床で見てきたなかでも、姿勢改善は腰痛改善の分岐点になります。
例えば、反り腰が強かった30代女性のクライアントは、体幹とお尻の筋トレを数週間続けただけで、立っているときの腰の張りがほぼ消えました。
これは、姿勢が整う→腰への一点集中負担がなくなるという構造が正しく機能した結果です。
筋トレは姿勢が勝手に整う体を作る最短ルートだと感じています。
股関節が使えることで「腰だけが頑張る状態」をなくす
腰痛を繰り返す方の多くに共通するのが、腰で動きすぎて、股関節が使えていないという特徴です。
本来、日常動作(しゃがむ・持ち上げる・前屈する)は、股関節が主役になるべきです。
しかし、股関節まわりの筋肉が弱かったり、動きの癖があったりすると、腰が代わりに曲がったり反ったりして負担を背負います。
股関節を鍛える筋トレ(ヒップリフト・ワイドスクワットなど)を行うと、
- 動き出しが股関節主導になる
- 腰の代償動作が消える
- 腰への負担が自然に減る
という流れが生まれます。
臨床では、股関節が正しく使えるようになった瞬間から痛みが急に減るケースが非常に多いです。
特に、立ち仕事・介護職・子育て中の方は効果が出やすく、
腰じゃなくてお尻に効く感覚をつかめた時点で再発リスクが大きく下がります。
血流改善により筋肉のこわばりを予防できる
腰痛の背景には、筋肉が固まって動きにくくなっているこわばりが関係していることが少なくありません。
特にデスクワークや長時間座位では、腰まわりの血流が低下し、筋肉が緊張状態のまま固くなる傾向があります。
筋トレで身体を動かすと、血流が一気に改善し、
- 老廃物や疲労物質が流れやすくなる
- 筋肉が柔らかくなる
- 動作の可動性が上がる
という良い循環が生まれます。
私自身、ぎっくり腰を経験したとき、軽い体幹トレーニングを取り入れ始めたタイミングで、朝のこわばりが劇的に減ったことを実感しました。
これは、多くのクライアントでも再現性の高い効果です。
筋トレは筋肉を固くするものではなく、正しく行えば筋肉がしなやかに動く状態を作り、腰痛を防止する根本対策になります。
今日からできる腰痛防止の自宅筋トレメニュー(初心者OK)

腰痛を防ぐための筋トレは、激しい運動である必要はありません。
むしろ、私がパーソナルジムで指導してきた経験では簡単だけど確実に効く種目を淡々と続けた人ほど改善が早い傾向があります。
特に印象的だったのは、座り仕事で慢性腰痛だった30代男性。
最初はデッドバグの動きですら体が揺れてしまい、「全然安定しないですね」と苦笑いしていました。
しかし、2週間ほど続けると体のブレが減り、朝起きた時の腰の重さが違うと話されるようになりました。
難しい動きではなく、基本の体幹トレーニングこそ最も効果が高いと改めて感じた瞬間でした。
これから紹介する6種目も、そうした実際の現場で腰痛改善に直結したものだけを厳選しています。
今日から、できるものを1つでも構いません。ぜひ一緒に実践してみましょう。
デッドバグ|腹圧を保ちながら体幹を安定させる
デッドバグは腹横筋と多裂筋を同時に活性化できる、腰痛予防の「基本のキ」となる種目です。
腰を反らずに手足を動かす練習ができるため、体幹の安定性が大きく向上します。
腰が反りやすい方や、デスクワークをしている人に特におすすめです。
🔸手順
- 仰向けになり、両手を天井に伸ばす。
- 股関節と膝を90度に曲げ、太ももを床と垂直にする。
- ゆっくりと右手と左脚を伸ばす。
- 元の姿勢に戻り、反対側も行う。
- 左右10回ずつを目安に。
🔸正しいフォームのポイント
- お腹全体を軽く膨らませ、腹圧をキープする。
- 腰と床の隙間が変わらないようにする。
- 動作はゆっくり、呼吸は止めない。
🔸NG例
- 腰が反って床から浮く
- 手足を勢いよくバタつかせる
バードドッグ|背骨を安定させる定番エクササイズ
バードドッグは、体幹を保ったまま手足を動かす能力を高め、腰椎の過度な動きを減らしてくれる種目です。
整形外科でもよくリハビリとして採用されており、私の現場でも再発予防の基本メニューとして頻繁に使用します。
🔸手順
- 四つ這い姿勢になる(手は肩幅、膝は腰幅)
- お腹に軽く力を入れて体幹を安定させる
- 右手と左足をゆっくり伸ばす
- 体がブレないように戻す
- 左右10回ずつ
🔸正しいフォームのポイント
- 骨盤が左右に揺れないようにする。
- おへそを背骨に軽く引き寄せるイメージ。
- 伸ばす手足は無理に高く上げなくてOK。
🔸NG例
- 腰が反る
- 骨盤が大きく回る
- 手足を速く動かす
ヒップリフト(グルートブリッジ)|お尻を鍛えて腰の負担を軽減
ヒップリフトは、腰痛予防で最重要の「大殿筋」を確実に働かせる種目です。
お尻が使えるようになると、立ち座りや歩行で腰に集中していた負担が分散し
腰が頑張りすぎる状態から脱却できます。
整骨院でも腰痛改善の基本として必ず取り入れていました。
🔸手順
- 仰向けで膝を立てる。
- かかとで床を押すようにして、お尻をゆっくり持ち上げる。
- 肩〜膝が一直線になったら1秒キープ。
- ゆっくり下ろす。
- 10〜15回。
🔸正しいフォームのポイント
- 腰ではなく、お尻(大殿筋)に効いているか確認。
- かかとで押す意識を強める。
- お腹が突き上がらないよう腹圧をキープ。
🔸NG例
- 腰を反らせて上げる
- 力を抜いて勢いでバウンドさせる
サイドプランク|横方向の体幹を強化して左右差を防ぐ
サイドプランクは横の体幹を強化し、骨盤の傾きや左右差による腰痛を防ぐうえで大きな効果があります。
立つ・歩く・座るなどの動作が安定し、腰にかかる偏った負荷が減ります。
パーソナルジムの現場でも、反り腰や骨盤の歪みが気になる方によく処方します。
🔸手順
- 横向きに寝て、肘を肩の真下につく
- 脚を伸ばし、身体を一直線に持ち上げる
- 20〜30秒キープ
- 反対側も同様に
🔸正しいフォームのポイント
- 身体を一直線に保つ
- お腹側を軽く引き締め、腹圧を維持
- 肩に力を入れすぎない
🔸NG例
- 腰が落ちて弓なりになる
- 首がすくむ
- お尻が後ろに引ける
ワイドスクワット|股関節主導の動きを身につける
ワイドスクワットは、腰痛予防に欠かせない「股関節主導の動き」を自然に身につけられる種目です。
股関節がうまく使えるようになると、しゃがむ・立つ・持ち上げる動作で腰が無理に曲がるのを防げます。
整骨院・ジム問わず、腰痛持ちのクライアントには必ず指導してきました。
🔸手順
- 脚を肩幅より広く開き、つま先をやや外へ向ける。
- 胸を軽く張り、背中をまっすぐにする。
- 股関節を折りたたむようにゆっくりしゃがむ。
- かかとで床を押して立ち上がる。
- 10〜15回。
🔸正しいフォーム
- お尻を後ろに引いて股関節から曲げる
- 背中が丸まらないようにする
- 膝はつま先の方向へ
🔸NG例
- 膝が内側へ入る
- 背中が丸まる
- 腰から曲がってしまう
立ってもも上げ(マーチ)|姿勢改善&インナーマッスル活性
立ったまま行うマーチは、姿勢改善とインナーマッスル活性にとても効果的です。
特にデスクワークで姿勢が崩れやすい方や、腹圧を日常で使いにくい方に向いています。
整形外科のリハビリでも、初期段階でよく用いる安全性の高い種目です。
🔸手順
- 背すじを伸ばして立つ。
- 片足をゆっくり持ち上げ、1秒キープ。
- 反対側も同様に。
- 20〜30回。
🔸正しいフォームのポイント
- お腹の圧を軽く高める(腹圧)
- 骨盤が左右に揺れないようにする
- 持ち上げる脚は高く上げすぎなくてOK
🔸NG例
- 身体が左右に大きく揺れる
- 脚を勢いで振り上げる
- 腰が反る
腰痛を悪化させるNG筋トレ|やってはいけない動きと注意点

腰痛を予防するために筋トレを始める方は非常に多いですが、
やり方を間違えると腰に強い負担がかかり、かえって痛みを悪化させてしまうことがあります。
実際、私は整形外科クリニックや整骨院で
トレーニングを頑張った結果、腰痛がひどくなったというケースを何度も見てきました。
腰痛を防ぐために最も重要なのは、
正しい筋トレを選ぶことと同時にやってはいけない動きを避けることです。
ここでは、初心者が特に間違えやすい4つのNG筋トレと、その危険性をわかりやすく解説します。
反り腰のまま行う背筋トレ(スーパーマンなど)は危険
スーパーマンのように背中を反らせる動きは背筋が鍛えられてとても良い種目です。
しかし、やり方を少しでも間違えると腰椎(特にL4〜L5)に強い圧縮ストレスがかかるため、腰痛を悪化させるリスクが高い種目でもあります。
反り腰の状態でこのトレーニングを反復すると、
- 椎間関節への過剰な圧迫
- 腰椎の過伸展
- 腰の筋肉だけが過剰に緊張する
という状態が続き、腰の負担が増えます。
🔸臨床現場での実例
整骨院で担当した40代男性の方は、背筋を鍛えれば腰痛がよくなると思ってスーパーマンを毎日やっていた。
という人でした。
しかし、結果的に痛みが悪化し来院されました。
反り腰姿勢のまま腰を反らしていたため、腰椎に負担が集中していました。
体幹トレーニングに切り替えると数週間で症状は改善しました。
背筋はもちろん大事ですが、背筋を使うための土台(腹横筋・多裂筋)を鍛えることがもっと重要です。
反動を使った腹筋(シットアップ・V字腹筋)は腰を痛める
シットアップやV字腹筋は、動作の大部分を腸腰筋(股関節前の筋肉)が引っ張る力で行うため、腰椎を前へ強く引き込み、腰に負担がかかります。
特に反動を使って勢いよく起き上がると、
- 腰椎が急激に屈曲する
- 椎間板への圧力が急上昇する
- 腰の筋肉が過緊張する
といった理由から、腰痛を悪化させる典型的なNG動作になります。
🔸臨床現場での実例
整形外科で担当した女性のクライアントは、
「お腹をへこませたくて毎日V字腹筋をしていた」
ところ、数週間で強い腰痛が発生。
反動を使うタイプの腹筋は、腹筋を鍛えているようで実は腰に負担をかけている典型的なNG例です。
整骨院で担当したクライアントの中には、毎日100回のシットアップを頑張っていた方がいましたが、
評価すると腹筋より腸腰筋が硬くなりすぎて腰を引っ張っている状態に。
これは頑張り屋さんほど陥りやすい落とし穴です。
腹圧を高めるデッドバグやプランクに切り替えたところ、
痛みは徐々に改善し、腹筋の働きも安定してきました。
重すぎるスクワット・デッドリフトはフォームが崩れる
スクワットやデッドリフトは本来腰痛対策にも効果的ですが、重すぎる重量で行うと途端に危険な種目になります。
重量が適正でない場合、
- 腰が丸まる(骨盤後傾)
- 腰が反る(過伸展)
- 股関節より腰が主役になってしまう
など、フォームが崩れやすくなり、腰椎に直接負担がかかります。
🔸臨床現場での実例
パーソナルジムで担当した20代男性クライアントは、
独学で重量を増やし続け、フォームが崩れた状態でデッドリフトを継続した結果、腰に強い痛みが出てしまいました。
パーソナルジムで見てきた中で印象的だったのは
「フォームが崩れているのに重さを上げたくなる」
という問題で、特に男性は記録更新欲が強く、フォームより重量を優先してしまうケースが多いのです。
一度、若い男性が無理に高重量に挑戦して腰を痛め、3週間トレーニングを休むことになった例もあります。
腰痛予防の段階では、重さよりどこに効いているかを最優先にしてください。
このクライアントは、フォームを整え、重量を適正に下げ、
股関節で動く
腹圧を先に入れる
という基礎を徹底してから再開したところ、腰痛は改善し、正しく刺激が入るようになりました。
痛みを我慢して続けるトレーニングは逆効果
- 痛いけど効いている気がする
- 少しくらい痛くても継続すべき
と思ってしまう方もいますが、腰痛において痛みの我慢は禁物です。
痛みは身体からの「負担がかかりすぎている」というサイン。
これを無視すると、
- 筋肉の防御反応でさらに固まる
- 神経が過敏になり、慢性化しやすくなる
- フォームが崩れ、別の部位にも負担が出る
という悪循環に入ります。
🔸臨床現場での実例
整骨院で担当した50代女性は、「腰が痛いけど、毎日スクワット100回を続けていた」と話されました。
結果、痛みが強くなり歩くのも辛い状態に。
負荷を一度ゼロにし、体幹と股関節を整える軽いメニューへ変更すると、数週間で動作の痛みは改善。
これは何度も伝えてきたことですが、「痛いのに続ける」ことにメリットはゼロです。
整形外科でも、我慢して動き続けた結果炎症が悪化し、改善まで倍の時間がかかったケースを数多く見てきました。
「痛みの質と場所」が変わったら、それは身体からのSOSです。
無理に続けるのではなく、原因を一度整理しましょう。
腰痛防止に必要な筋肉とインナーマッスル|鍛えるべき部位を整理しよう

腰痛を防止するために大切なのは、腰そのものを直接鍛えることではありません。
私がこれまで整形外科クリニック・整骨院・パーソナルジムで14年間クライアントを見てきた経験でも、
腰痛を繰り返す方ほど腰以外の筋肉が上手く働いていないことが共通しています。
特に重要なのが、
- 体幹(腹横筋・多裂筋)
- お尻(大殿筋・中殿筋)
- 太もも裏(ハムストリングス)
- 背中(広背筋・僧帽筋下部)
という4つのエリアです。
これらが連動すると、腰に集中していた負担が全身に分散し、自然と腰に優しい動きができるようになります。
ここでは、腰痛防止に欠かせない筋肉たちの役割を、やさしく整理してお伝えします。
腹横筋・多裂筋(インナーユニット)|腰を守る土台
腹横筋と多裂筋は、腰まわりを取り囲む深層の体幹筋(インナーマッスル)で、腰痛予防の中心的な存在です。
🔸役割
- 腹横筋→お腹全体をコルセットのように固定
- 多裂筋→背骨一本一本を安定させる
この2つが働くことで体幹が強くなり、腰椎が余計に動かなくなります。
🔸なぜ重要なのか
- 腹圧が高まり、腰椎のブレが減る
- 荷物を持つ・前傾姿勢などの日常動作が安定する
- ぎっくり腰の再発リスクが大幅に下がる
整形外科で担当した患者さんの多くが、腹横筋が働いていない状態でした。
デッドバグや呼吸トレーニングで腹横筋を活性化すると、たった数週間で
「腰の重だるさが消えた」
「長時間座っても疲れにくくなった」
といった声がよく聞かれます。
腰痛予防の第一歩は、まずこの2つの筋肉を正しく働かせることです。
大殿筋・中殿筋|骨盤を安定させる重要な筋肉
お尻の筋肉である大殿筋(お尻の後ろ全体)と中殿筋(お尻の横)は、腰痛予防に欠かせない骨盤のガードマンです。
🔸役割
- 大殿筋→股関節の伸展(立ち上がる・歩く)
- 中殿筋→骨盤の左右の安定、片脚支持の安定
🔸なぜ重要なのか
- お尻の筋肉が弱いと腰の筋肉が過剰に代償してしまう
- 反り腰や猫背の原因になる骨盤の傾きが出やすい
- 歩行時に骨盤が左右に揺れ、腰への負担が増える
整骨院でもパーソナルジムでも、腰痛持ちの方のお尻はほぼ例外なく弱いです。
ワイドスクワットやヒップリフトを指導すると、
「腰ではなくお尻に効く感覚が初めてわかった」
という反応が多く、その瞬間から腰への負担が著しく減るケースが多いです。
ハムストリングス|骨盤の角度を整えて反り腰を防ぐ
太もも裏の筋肉であるハムストリングスは、骨盤の位置(前傾・後傾)をコントロールするために欠かせない存在です。
🔸役割
- 骨盤を後ろに引く(後傾をサポート)
- 股関節の動きをスムーズにする
🔸なぜ重要なのか
- ハムが硬すぎる→骨盤が後傾→猫背姿勢→腰への負担増
- ハムが弱すぎる→骨盤前傾→反り腰→腰椎の圧迫増
どちらの状態も腰にはよくありません。
整形外科のリハビリで反り腰の方を評価すると、
お腹が弱く、ハムストリングスも弱い
ケースが非常に多いです。
ハムが弱いと骨盤前傾が強くなり、腰が常に反った状態に。
ルーマニアンデッドリフト系の軽負荷トレーニングを丁寧に行うと、
「腰の反り感がなくなってきた」
と感じる方が多いです。
ハムストリングスは腰痛の隠れキーマッスルと言えます。
広背筋・僧帽筋下部|猫背改善と体幹安定に欠かせない
背中の筋肉である広背筋(背中全体)と僧帽筋下部(肩甲骨を下げる筋肉)は、姿勢を支える要です。
🔸役割
- 広背筋→背骨と骨盤を結ぶ大きな筋肉。姿勢を引き上げる
- 僧帽筋下部→肩甲骨を下げて胸を開き、呼吸と姿勢を安定
🔸なぜ重要なのか
- 背中が弱いと猫背になり、腰の負担が増える
- 腹圧が入りにくくなるため体幹が不安定になる
- 姿勢が崩れ、股関節が正しく使えなくなる
整形外科でも多かったのが猫背+腰痛の組み合わせです。
背中の筋力が低下していると、体幹が支えられず、腰が常に緊張します。
ラットプルダウンや胸椎伸展のセルフケアを取り入れると、
「呼吸がしやすくなった」
「腰だけで支えていた感じがなくなった」
という声が非常に多く、背中の筋肉が腰痛予防に直結していることを実感しています。
インナーマッスルを安全に鍛える方法|腹圧の使い方から始めよう

腰痛を防ぐうえで欠かせないのが、腹横筋や多裂筋といった身体の内側で働く筋肉=インナーマッスルです。
これらは外から形が見えないため、鍛えている実感を得にくいのですが、腰椎を支えるうえでは最も重要な役割を持っています。
私が整形外科クリニック・整骨院・パーソナルジムで14年間クライアントを見てきて痛感するのは、
腰痛が長引く方ほど、このインナーマッスルを働かせることができていないという事実です。
腰を守るために必要なのは「強い筋肉」ではなく、
必要なときに必要なだけ筋力を働かせる使い方。
その入り口になるのが腹圧(腹腔内圧)を扱う感覚です。
ここからは、私が臨床現場で実際に改善につながった3つのステップを紹介します。
順番にできるようになるだけで、腰の不安定さが驚くほど減っていきます。
腹式呼吸でお腹が360度ふくらむ感覚をつかむ
インナーマッスルを働かせる最初のステップは、腹式呼吸です。
呼吸によって腹横筋が自然に刺激され、体幹の内側に「支える力」が生まれます。
私が整形外科でリハビリ指導していたとき、慢性腰痛のクライアントにこの呼吸を覚えてもらうと、多くの方が初回から
「腰まわりの緊張が少し抜けた気がする」
と変化を感じていました。
呼吸を変えるだけで、体幹の安定が生まれる瞬間です。
🔸腹式呼吸で意識するポイント
- 肩を上げずに呼吸する
- 前・横・背中側すべてがふくらむイメージ
- 吸うときに腹横筋が働き、吐くときに力が抜ける感覚をつかむ
浅い胸式呼吸で過ごしていると、腰が常に不安定なまま固まってしまいます。
ここを改善するだけで、腰の動きの印象が大きく変わります。
腹圧を保ったまま四肢を動かす(デッドバグ)
腹式呼吸で腹横筋が働き始めたら、次はその腹圧を動きの中で保つ練習に進みます。
多くの腰痛持ちの方がつまずくポイントは「動き出した瞬間に腹圧が抜ける」ことです。
整骨院で反り腰のクライアントを評価していると、
- 前に倒れるとき
- 立ち上がるとき
- 荷物を持ち上げるとき
こうした瞬間に腹圧が抜け、腰だけで動作を支えてしまっていました。
デッドバグは、この腹圧の抜け落ちを修正するのに最適です。
🔸デッドバグで意識したいポイント
- 腰と床の距離が変わらないようにゆっくり動かす
- 手足を大きく動かさなくてよい(小さく正確に)
- 腹圧が抜けそうになったら動きを止めて微調整する
これができるようになると、クライアントからは
「前屈したときの怖さがなくなった」
「抱っこや荷物持ちが楽に感じるようになった」
という声が多く上がります。
日常動作に直結するスキルがここで身につきます。
立つ・座る姿勢で腹圧をキープするコツ
インナーマッスルを本当に使えるようになるのは、
トレーニング中ではなく日常の姿勢で腹圧を保てるようになった瞬間です。
パーソナルジムで姿勢改善を担当してきた経験では、デスクワークが中心の方ほど以下の特徴が出やすいです:
- 骨盤が後ろに倒れている
- 腹圧が抜けたまま座っている
- 息が浅く、腰が過緊張している
この状態で長時間過ごせば、腰に疲労が溜まるのは当然です。
そこで私がよく指導していたのが、
「立つ・座るときに1〜2割だけ腹圧を入れて保つ」
という意識です。
🔸姿勢で腹圧を保つコツ
- 立位:お腹を軽くふくらませたまま呼吸を続ける
- 座位:骨盤を立て、浅めに座る(深く座りすぎると腹圧が抜ける)
- 力むのではなく、「軽く膨らませて自然に呼吸」
これが習慣化すると、
「仕事中の腰の張りが減った」
「立ち上がりが軽く感じる」
という変化が現れ、腰痛の再発率が確実に下がります。
インナーマッスルは筋力勝負ではありません。
どれだけ日常で自然に使えるかが勝負です。
ジムでできる腰痛防止筋トレメニュー(マシン・ダンベル編)

自宅のトレーニングに慣れてきたら、ジムのマシンやダンベルを使ってより効果的に腰痛予防を進めることができます。
ジムには身体の動きをサポートしてくれる設備がそろっているため、
正しいフォームさえ身につければ、腰に負担をかけずに安全に筋力を高められます。
ただし、整形外科や整骨院で多くのクライアントを見てきた経験からも、
フォームを間違えたことで逆に腰を痛めてしまった
というケースは少なくありません。
とくにスクワットやデッドリフトのように難易度の高い種目に挑戦しがちな初心者ほど注意が必要です。
ここでは、腰痛予防に効果が高く、フォームさえ抑えれば初心者でも安全に行える4つのジム種目を紹介します。
どれも腰ではなく股関節・背中・お尻といった腰を守ってくれる筋肉を鍛えるのに最適なメニューです。
レッグプレス|膝ではなく股関節で押す感覚を身につける
レッグプレスは、下半身をバランスよく鍛えられる代表的なマシンですが、
腰痛予防の観点では「股関節で押す」感覚を覚えるための最適なトレーニングと言えます。
整形外科で腰痛患者さんを指導していたとき、しゃがむ・立つといった動作で膝ばかり使い、股関節をほとんど使えていない方が非常に多くいました。
レッグプレスはその腰に負担が集中する動きのクセを修正する効果があります。
🔸レッグプレスで意識したいポイント
- 膝ではなくお尻と太もも裏で押す
- 重量は軽めからスタート(フォームが優先)
- 動作中に腰が丸まらないように座面の深さを調整
慣れてくると、「立つ」「歩く」など日常動作で股関節が自然に使えるようになり、腰の負担が大きく軽減します。
ラットプルダウン|背中の安定性を高めて姿勢を整える
ラットプルダウンは、広背筋を中心に背中全体を鍛えるマシンですが、
腰痛予防の目的では「姿勢を安定させる筋肉を育てる」種目になります。
猫背姿勢や巻き肩の方は、腹圧が入りづらく体幹が安定しないため、腰に負担がかかりやすい傾向にあります。
パーソナルジムで姿勢改善を担当するときも、
このラットプルダウンを正しいフォームで行えるようになった瞬間、腰の張りが減る方が非常に多くいました。
🔸ラットプルダウンのポイント
- 背中で引く(腕では引かない)
- 肩甲骨を下げる感覚を意識
- 背中を丸めず、肋骨を締めて体幹を安定させる
正しいフォームで行うと、背骨がまっすぐ起き上がる感覚が得られ、座位姿勢の安定にもつながります。
ヒップアブダクション|中殿筋をピンポイントで鍛える
ヒップアブダクションは、お尻の横にある中殿筋をピンポイントで鍛えるためのマシンです。
中殿筋は骨盤を左右方向に安定させる役割があり、弱いと立っているだけ・歩くだけで腰に負担がかかりやすくなります。
整骨院で腰痛の方を評価していると、多くの方が立位で骨盤が左右に揺れ、腰が代償動作として働きすぎていました。
中殿筋を適切に鍛えると、この揺れが減り、腰への負担も大きく減ります。
🔸ヒップアブダクションで大事なこと
- 動かす範囲は大きくなくてよい
- 骨盤を安定させてお尻だけを動かす
- 重量よりフォーム(軽めでOK)
中殿筋が働くようになると、歩行時の安定性が上がり、「歩くと腰が重くなる」タイプの腰痛には特に有効です。
バックエクステンション|正しいフォームで背筋を鍛える
バックエクステンションは背筋を鍛える代表的なマシンですが、
腰痛予防の視点では「背中を伸ばすのではなく、股関節で起き上がる感覚」を身につける種目です。
多くの人はこの種目で腰を反り返してしまい、それが腰痛悪化の原因になります。
整形外科でも、誤ったバックエクステンションで悪化したケースを何度も見てきました。
ただし、正しいフォームで行えば、腰椎に負担をかけずに脊柱起立筋群を鍛えることができ、姿勢の改善にも大きく貢献します。
🔸安全なバックエクステンションのポイント
- 腰を反らせず、胸から動くイメージ
- 可動域は小さくてOK(むしろ小さいほうが効果的)
- 目線は床に向け、首を反らせない
腰で反るクセを改善できるため、痛みの再発予防にとても有効です。
腰痛防止の効果を高めるストレッチ&生活習慣

筋トレは腰痛予防にとても効果的ですが、その効果を最大限に高めるためには、
日常生活での姿勢や体の使い方もセットで改善していく必要があります。
整形外科や整骨院で多くのクライアントをみてきた経験からも、
トレーニングだけで改善した方より、「生活習慣や姿勢」まで整えた方のほうが再発が圧倒的に少ないという傾向があります。
特に重要なのは、
- トレーニング前の準備(胸椎・股関節を動かす)
- デスクワーク中の姿勢リセット
- 朝の動き出しを整える習慣
この3つです。どれも今日から取り入れるだけで、腰にかかる負担が目に見えて軽くなります。
ここでは、私が実際の現場で効果を実感してきた方法を、初心者でもすぐにできる形で紹介します。
トレーニング前のウォームアップストレッチ(胸椎・股関節)
腰痛の多くは腰が悪いのではなく、胸椎(背中)や股関節が動かないことで腰だけが動きすぎてしまうことが原因です。
そのため、トレーニング前に胸椎と股関節を軽く動かしておくだけで、腰への負担が大きく減ります。
私がパーソナルジムで指導していたときも、ウォームアップを丁寧に行った日は、
クライアントの腰の張りが明らかに少なくなる印象がありました。
🔸おすすめのウォームアップ
- 胸椎の伸展・回旋
→猫背が改善し、体幹が安定する - 股関節の前後・回旋ストレッチ
→スクワット・デッドバグ・ヒップリフトがやりやすくなる - 太もも前・後ろの軽いストレッチ
→骨盤の傾きを整え、腰椎の負担を減らす
胸椎と股関節に動きを出すことが腰痛予防のポイントです。
デスクワーク中に1分でできる姿勢リセット法
デスクワーカーの腰痛は、長時間同じ姿勢で固まっていることが最も大きな原因です。
整形外科でみてきた方の多くも、仕事中に腰が張りはじめ、そのまま慢性化していくケースが多くありました。
1分でできる姿勢リセットを挟むだけで、腰への負担は劇的に変わります。
🔸姿勢リセット法(1分でOK)
- 椅子に浅く座り、骨盤を立てる
- 胸を軽く引き上げる
- 肩をすとんと落とす
- お腹を軽くふくらませて腹圧をつくる
- ゆっくり3回深呼吸
この深呼吸をセットにするのが大きなポイント。
腹圧が自然に入り、腰の筋肉の緊張が抜けやすくなります。
実際、整骨院で姿勢指導を続けたクライアントの中には、
このリセットだけで午後の腰の重さがなくなった
という人も多く、シンプルながら非常に効果的な習慣です。
朝の腰痛予防ルーティン(起床前の動きなど)
朝に腰が痛い方は非常に多いですが、
これは寝ている間に背中や股関節が固まり、起き上がる瞬間に腰が一気に伸びてしまうことが原因です。
整形外科でも、朝に痛みが強い方には起床前の動き出しを細かく指導していました。
ベッドから起きる前の30秒〜1分の習慣だけで、朝の腰痛は大きく変わります。
🔸朝の腰痛予防ルーティン
- 膝を軽く抱えて腰を丸める(5〜10秒)
- 左右にゆっくり倒して背中のこわばりをゆるめる
- 仰向けのまま膝を立て、軽く骨盤を前後に動かす
この3ステップを行ってから起き上がると、腰椎がいきなり伸ばされるのを防げるため、痛みが出にくくなります。
さらに、立ち上がってから軽く胸を開き、深呼吸を2〜3回入れると、腹圧が入り、朝の動作がスムーズになります。
実際にこのルーティンをお伝えしたクライアントの多くが、
「朝の不安がなくなった」
「腰が固まる感じが減った」
と改善しています。
腰痛防止に役立つおすすめアイテム(筋トレ効果を底上げ)

腰痛を防ぐために筋トレを続けていると、
「もう少し体を安定させたい」
「フォームを整えたい」
と感じる場面が必ず出てきます。
そんなときに役立つのが、腰を守りながらトレーニング効果を底上げしてくれる補助アイテムです。
私はこれまで整形外科クリニック・整骨院・パーソナルジムと、医療から運動指導まで幅広い現場でクライアントをサポートしてきましたが、
正しく選んだアイテムは痛みの予防とフォーム改善の両面で明確に効果を発揮します。
逆に、目的に合わない使い方をすると腰に負担が集中するため、選び方のポイントを知っておくことが重要です。
ここでは、腰痛予防と筋トレ効果アップのために本当に役立つアイテムだけに絞って紹介します。
腰痛防止ベルト(骨盤ベルト・トレーニングベルト)
腰痛防止ベルトは腰を固めるものと思われがちですが、正確には腹圧を入りやすくするサポートアイテムです。
とくにトレーニング中、体幹が不安定な方や腰が反りやすい方には非常に効果的です。
おすすめアイテム①:ALLOUT(オールアウト)トレーニングベルト|腹圧を入れやすい初心者向けの一本
オールアウトのベルトは、腹圧を“自然に入れられる形状”が特徴です。
硬すぎず、柔らかすぎず、初心者でも巻いた瞬間にお腹の膨らむ方向がわかるため、腹横筋の感覚がつかみにくい方に特に向いています。
整形外科とパーソナルジムの現場でも、
「腹圧が苦手」「スクワットで腰が反る」
というクライアントにはまずこのタイプのベルトを使わせることが多く、
巻いた瞬間に体幹が安定する実感を得られやすいのが魅力です。
🔸こんな人に向いている
- 腹圧がよくわからない初心者
- 腰が反りやすい反り腰タイプ
- 自重トレーニングでも不安定感がある人
- まずは軽いサポート力で十分な方
腹横筋のスイッチが入りにくい人でも補助として非常に相性が良く、
「腰を守りながらフォームを覚えたい人の最初の一本」として最適です。
おすすめアイテム②:McDavid(マクダビッド)腰サポートベルト|日常+トレーニングどちらも使える安定感
マクダビッドは医療系サポーターの世界でも信頼度が高く、
「腰痛防止×動作安定」両方を満たした実用性の高いベルトです。
特徴は、
- 幅が広く、腹圧が逃げにくい
- 日常生活でも使える快適さ
- 動作時の過伸展(反りすぎ)をしっかり抑える
整骨院時代、反り腰で前屈が怖いタイプの方に使ってもらうと、
「腰が反らなくなって動きが楽です」
とフィードバックを多くもらっていました。
🔸こんな人に向いている
- 反り腰による腰の張りが強い
- 日常生活でも腰が不安定に感じる
- スクワット・ヒンジで腰が反ってしまう
- トレーニングと普段使いを兼用したい
サポート力がありつつ動きやすいため、腰を守りながら日常とトレーニングを両立したい人にぴったりです。
自宅筋トレ用マット
トレーニングマットは一見するとただの敷物ですが、腰痛予防の観点では非常に重要なアイテムです。
硬い床でデッドバグやプランクを行うと、
- 腰骨が床に当たって痛い
- お尻が安定せずフォームが崩れる
- 無意識に力みが入る
など、動きの質を著しく低下させます。
パーソナルジムで初心者の方に教えるときも、必ず厚めのマットを使ってもらいます。
すると、腹式呼吸・腹圧・股関節の動きが格段に安定し、「体が動かしやすい」と確実に体感してもらえます。
🔸マット選びで重視したい点
- 厚み:10mm前後(薄いと衝撃吸収が弱く固い)
- 滑りにくさ(滑ると腰が反る原因に)
- 耐久性(へたりやすいものは腰の安定感が失われる)
マットは最初に買うべきアイテムと言ってもいいほど、腰痛予防のトレーニングと相性が良いです。
フォームローラー・トリガーボール
腰痛の方は、胸椎(背中)や股関節まわりの筋肉が固くなり、腰だけが動いてしまう状態になっていることが多いです。
フォームローラーやトリガーボールは、この硬さを取ってスムーズに動ける状態を作り、
筋トレの効果を一気に高めてくれるアイテムです。
🔸専門家として感じるメリット
- 胸椎を伸ばすと姿勢が整い、腹圧が入りやすくなる
- お尻・太もも裏の硬さを取ることで股関節が動きやすくなる
- デッドバグ・スクワットなどのフォームが改善する
整形外科クリニックでも、胸椎伸展のためにフォームローラーを使ったセルフケアを指導すると、
「腰への負担を感じにくくなった」
という声が多く、再発予防にも非常に効果的でした。
🔸使うタイミング
- トレーニング前のウォームアップ
- 仕事後のリセット
- 朝起きた直後の硬さをとる時
腰痛改善の隠れた補助役として、持っておく価値が高いアイテムです。
よくある質問(FAQ)

腰痛と筋トレについては、多くの方が
休むべきか?
どれくらい続ければ良いのか?
など、共通した疑問を抱えています。
ここでは、整形外科・整骨院・パーソナルジムの現場でよくいただいた質問に、専門家として簡潔かつ分かりやすく回答します。
腰痛があるとき筋トレは休むべき?
回答:痛みが強い時は一度休み、軽減してきたら腰に負担の少ない体幹中心の筋トレに切り替えましょう。
腰痛が強い急性期に無理をすると、炎症が悪化し回復が遅れます。
ただし、整形外科で多く見てきたように完全な安静はかえって筋力低下・血流悪化を招き、治りを遅くすることも事実です。
痛みが落ち着いてきた段階で、デッドバグやヒップリフトのような安全な体幹トレーニングから再開すると回復がスムーズです。
どれくらいの頻度で効果が出る?
回答:週2〜3回を4〜6週間続けると、多くの方が「動きやすさ」や「痛みの減少」を実感し始めます。
私がパーソナルジムや整形外科で腰痛のクライアントを指導した経験では、
体幹や股関節の筋トレを週2~3回で継続したケースが最も改善が安定していました。
筋肉の強化だけでなく、使い方の変化が起こるまでには最低数週間必要です。
継続するほど姿勢や腹圧のコントロールが上達し、痛みの予防効果が高まります。
反り腰でもできる筋トレは?
回答:デッドバグ・サイドプランク・ヒップリフトなど腰を反らない形で体幹とお尻を鍛える種目が最適です。
反り腰は腰椎の過伸展(反りすぎ)が原因のため、腹圧が抜けやすく腰に負担が集中します。
整骨院でも反り腰の方に腹筋運動や背筋運動を行わせた結果、悪化して来院されるケースも多くありました。
その点、デッドバグやサイドプランクは腰椎をニュートラルに保ちながら安全に腹横筋・多裂筋を鍛えられ、反り腰改善に直結します。
高齢者・初心者でも問題ない?
回答:正しいフォームと軽い負荷を守れば、むしろ腰痛予防に最適です。
整形外科でも高齢の方に体幹トレーニングを組み込むことは一般的で、安全性が高いのが特徴です。
重要なのは痛みが出ない範囲でゆっくり動く、腹圧を保つ、呼吸を止めないという3点。
特にヒップリフト・バードドッグ・マーチは高齢者でも安全に実施でき、多くの方が姿勢改善や歩行の安定を実感しています。
病院・整骨院に行く目安は?
回答:「痛みが2週間以上続く」「脚のしびれがある」「日常動作がつらい」場合は早めの受見が必要です。
腰痛の多くはセルフケアで改善しますが、
- しびれ
- 排尿・排便の異常
- 片脚だけの強い痛み
- 日に日に悪化するケース
などがある場合は、神経の問題が隠れている可能性があるため整形外科を優先すべきです。
また、筋膜性・姿勢性の腰痛であれば整骨院や運動指導でも早期改善が見込めます。
私は臨床現場で「受見のタイミングが遅れて回復が長引いたケース」を何度も見てきました。
少しでも不安がある場合は相談するのが最も安全です。
まとめ|今日から腰痛防止筋トレを1種目だけ始めよう

腰痛を防ぐために必要なのは、強い筋力よりも「体幹が安定し、股関節が正しく使える身体」をつくることです。
今日ご紹介したメニューは、そのための最短ルートです。
大切なのは、完璧を目指すことではなく、まずは1種目だけでいいから続けてみること。
特に初心者は、デッドバグ・ヒップリフト・バードドッグの3つから始めると効果を実感しやすく、安全に進められます。
腰痛は正しい知識と習慣で確実に変わります。
ぜひこのページを開いたまま、今気になった種目を一緒に動いてみてください。
小さな一歩が、未来の「腰痛のない毎日」をつくります。
【参考文献】
1.日本整形外科学会・日本腰痛学会「腰痛見療ガイドライン」https://www.joa.or.jp/guide/lbp.html
2.NICE(NationalInstituteforHealthandCareExcellence)「Lowbackpainandsciaticainover16s:assessmentandmanagement」https://www.nice.org.uk/guidance/ng59
3.HaydenJA,etal.Exercisetherapyforchroniclowbackpain:Asystematicreview.(2021)
