腰痛がなかなか良くならず
どんな筋トレをすれば安全に改善できるのか?
と迷う方はとても多いです。
腰の痛みは、腹横筋や多裂筋などの体幹がうまく働かず、股関節が正しく使えないことで起こりやすくなります。
この記事では、腰に負担をかけずに自宅でできる筋トレメニューと、正しいフォーム、避けたいNG動作を専門家がわかりやすく解説します。
今日から始められる安全なメニューで、腰の不安を少しずつ減らしていきましょう。
結論|腰痛改善には体幹と股関節の筋トレをメニューに入れた方がいい

腰痛を最短で改善したいなら、
腹横筋・多裂筋などの体幹の安定性をつくる筋肉と、臀筋群や腸腰筋などの股関節を正しく使うための筋肉を同時に鍛えることが欠かせません。
腰痛の多くは腰だけが頑張ってしまう動作パターンが原因で起こるため、
バックエクステンションやデットリフトなどで腰そのものを鍛えるよりも、
腰が余計に動かなくて済む体の使い方をつくる方が改善効果が大きいというのが現場で見てきた事実です。ここでは、その理由をシンプルに解説します。
腰痛と筋力低下の関係
腰痛を抱える多くの人に共通しているのは、腰椎そのものが悪いのではなく、腰を支える体幹と股関節の筋力が弱いことです。
体幹が弱いと腰椎が安定せず、動くたびに腰の筋肉が過剰に働き、痛みが出やすい状態になります。
さらに、股関節まわり(特に臀筋群・腸腰筋)が弱いと、
本来なら股関節が動くはずの動作(立ち上がり・前屈み・歩行など)で、腰が代わりに動き過ぎてしまいます。
これは代償動作と呼ばれ、慢性的な腰痛の大きな原因です。
臨床現場でも、慢性腰痛の人ほどお尻が使えない、腹圧が入らないというパターンが圧倒的に多いです。
腰痛改善の近道は、体幹で腰椎を安定させ、股関節で動作の負荷を受ける“正しい役割分担”を取り戻すことにあります。
この記事でわかること
この記事では、腰痛の改善に必要な筋肉(腹横筋・多裂筋・腸腰筋・臀筋群・脊柱起立筋)の役割を理解した上で、
自宅で安全に実践できる腰痛改善専用の筋トレメニューを紹介します。
各メニューは
- なぜ効果があるのか
- 正しいフォーム
- よくあるNG例
の順で解説しているため、初めてでも再現性が高いのが特徴です。
また、腰痛が悪化しやすい動き、痛みがある日の調整方法、目的別のメニューの選び方など、
現場でクライアントが特に間違いやすいポイントもまとめています。
この記事を読み終える頃には、自分に必要なメニューが明確になり、その日から安全にスタートできます。
腰痛改善のための筋トレメニュー

「ストレッチしてもすぐ痛みが戻る」
「動くと腰が不安定に感じる」
こうした悩みがある方は腰そのものではなく、腰を支える筋肉がうまく働いていないことが原因になっている場合がほとんどです。
腰痛改善に欠かせないのは、
腹横筋・多裂筋・腸腰筋・臀筋群・脊柱起立筋といった身体を支える土台の筋肉を正しく働かせることです。
ここからは、それぞれの筋肉がどんな役割を持ち、どんな人が弱くなりやすく、どう鍛えると腰痛の改善に直結するのかをわかりやすく解説します。
腹横筋・多裂筋|腰椎を守る天然コルセット
「立っていると腰が反りやすい」
「動くと腰がグラつく感じがある」
このような傾向がある方は、腹横筋と多裂筋がうまく働いていない可能性が高いです。
腹横筋はお腹の天然コルセットとして腰椎を締める役割があり、多裂筋は背骨を細かく安定させています。
この2つが弱いと、どんな動作でも腰が必要以上に動きやすくなり、痛みが出やすい状態になります。
特に慢性腰痛の方は、腹圧が抜けていたり、動作中に腰だけが反りやすい特徴があります。
まずは腹横筋と多裂筋を使える状態をつくることで、腰椎が安定し動いても痛みが出にくい体に変わります。
🔸鍛えるときのポイント
- お腹全体がふくらむ腹式呼吸を意識する
- 腰を反らずにお腹だけ軽く締める感覚を持つ
- デッドバグは初心者でも腹横筋が入りやすいおすすめメニュー
腸腰筋|反り腰・猫背姿勢の改善に不可欠
「座っていると腰が丸くなる」
「立つと反り腰が強くなる」
これらは腸腰筋の働きが弱っている、もしくは硬くなっているサインです。
腸腰筋は背骨と骨盤をつなぐ筋肉で、姿勢の安定には欠かせません。
この筋肉が弱いと猫背が強まり、逆に硬いと反り腰になります。
どちらの姿勢も腰に負担がかかり、痛みが起こりやすくなる原因です。
腸腰筋を適切に働かせることで、骨盤の位置が整い、体幹の力が腰に伝わりやすくなります。
動くたびに腰が反ったり丸まったりするクセが軽減され、痛みが出にくい姿勢が作れます。
🔸鍛えるときのポイント
- 膝を胸に引き寄せる「ニー・トゥ・チェスト」が効果的
- 腰を反らずに股関節を曲げる感覚を覚える
- 長時間の座り姿勢が多い人は特に優先したい筋肉
臀筋群|骨盤を安定させて腰の負担を軽減
「歩くと骨盤が左右に揺れる」
「階段で太ももばかり疲れる」
これらは臀筋群(特に大臀筋・中臀筋)が弱くなっている典型例です。
臀筋群は骨盤をしっかり支えてくれるため、ここが弱いと股関節の動きが不安定になり、腰が代わりに動き過ぎる代償動作を招きます。
その結果、腰まわりの筋肉だけに負担が集中し、痛みが慢性化しやすくなります。
逆に、お尻が正しく働くようになると、立つ・歩く・しゃがむといった動作がスムーズになり、腰の負担が大幅に減ります。
腰痛クライアントの多くはお尻が使えていない人が多数なため、筋トレをしてすぐに改善効果が出やすい部位です。
🔸鍛えるときのポイント
- ヒップリフトはお尻を使う感覚が得やすい
- ワイドスクワットは腰に負担をかけずに臀筋を刺激できる
- 足裏全体で地面を押す感覚を得られると腰痛が安定する
脊柱起立筋|正しい姿勢を維持する基礎
脊柱起立筋は背中を縦に走る大きな筋肉で、姿勢を保つための主役です。
ただし、腰痛のある方の脊柱起立筋は頑張っているのに弱い状態になっていることがよくあります。
これは、他の筋肉が働かず脊柱起立筋が過剰に頑張らされているためです。
つまり、疲れすぎて本来の力を出せない状態です
脊柱起立筋をただ鍛えるだけでは腰痛が悪化することもあるため、正しく働く環境を整えることが先です。
体幹と股関節が安定すると、脊柱起立筋が適切な働きを取り戻し、姿勢の崩れや腰の疲労が減っていきます。
🔸鍛えるときのポイント
- いきなり背筋系トレーニングを増やしすぎない
- まず体幹(腹横筋・多裂筋)を鍛えて腰を守る土台を作る
- 脊柱がまっすぐ保てる範囲で軽めの負荷から始める
腰痛を悪化させるやってはいけない筋トレメニュー

腰痛を改善したくて筋トレを始めても、フォームや種目の選び方を間違えると、逆に腰痛が強まってしまうことがあります。
特に
- 背中を反らしすぎる動き
- フォームが崩れやすい高負荷トレーニング
- 痛みがあるのに無理に伸ばすストレッチ
これらは腰に過度なストレスを与えてしまう代表的なパターンです。
ここでは、腰痛を悪化させやすい筋トレ動作と、その理由をわかりやすく解説します。
まずはやってはいけない動きを見直すだけでも腰への負担は大きく減らせます。
腰の反りを強める動き
スーパーマン(うつ伏せで手足を持ち上げる動き)は背筋を鍛える代表的なトレーニングですが、腰痛がある方には負担が大きくなりやすい種目です。
背中を大きく反らせる動作は、腰椎への圧力を強め、腰痛を感じている部分にストレスが集中してしまいます。
特に
- 反り腰タイプ
- 腹圧が入りにくい方
は腰が反りやすく、背筋を鍛えているつもりが腰だけで動いてしまうケースが多いです。
腰痛がある状態でこのクセ(背中でなく腰が反る)が残ったままスーパーマンを行うと、痛みが悪化しやすくなります。
腰痛がある方は、まず仰向けや四つ這い姿勢で腰を反らずに体幹を安定させる練習から始めることをおすすめします。
高負荷スクワット・デッドリフトが危険な理由
スクワットやデッドリフトは、安全に行えば体幹や下半身をバランスよく鍛えられる優れたトレーニングです。
しかし、腰痛がある状態で高重量を扱うと、フォームが崩れやすく、腰に過剰な負荷がかかりやすくなります。
とくに次のような動作には注意が必要です。
- 腰が丸まったまま引き上げるデッドリフト
- しゃがむときに骨盤が後ろに倒れるスクワット
- 腰椎が過度に前傾した状態のスクワット
- 腹圧が抜けた状態での動作
これらは腰椎に大きな負担をかけ、痛みが悪化する原因になります。
腰痛改善が目的の場合は、まず軽い負荷でフォームを整え、腹圧のコントロールや股関節の使い方を習得してから重量を扱う流れが安全です。
痛みがあるのに無理に伸ばすストレッチ
腰痛のある方がやりがちな間違いのひとつが、痛い場所を無理に伸ばそうとすることです。
痛みが出ている部分は筋肉が緊張しているだけでなく、炎症や神経の過敏性が関係していることがあります。
この状態で強くストレッチをすると、かえって痛みが増したり、筋肉がさらに硬くなったりすることがあります。
とくに、腰を丸めるストレッチを勢いよく行うと、椎間板や周囲の組織に余計な負担がかかり、症状が悪化するケースもあります。
腰痛があるときは、痛みをガマンして伸ばすのではなく、気持ちよく伸びる範囲で止めることが大切です。
ストレッチはあくまで補助であり、腰痛改善の中心となるのは体幹や股関節を安定させる筋トレであることを覚えておくと安心です。
腰痛時に休むべきサインとは?
腰痛があるとき、筋トレを続けるべきか休むべきか迷う場面があります。
判断の目安として、以下のようなサインがある場合は一旦休むことをおすすめします。
🔸休むべき3つのサイン
- 動くたびに「ズキンッ」と鋭い痛みが走る
- 安静時でも痛みが強く、姿勢が保てない
- しびれ・脚の痛みが強まり、歩くのがつらい
これらは腰の組織に負担がかかっている可能性が高く、無理をすると悪化することがあります。
一方で、軽い張りや違和感がある程度なら、強度を落として体幹トレーニングを続けることで、かえって腰の安定につながることもあります。
どの痛みならOKかを知っておくと、安全にトレーニングを継続できます。
腰痛でも安全にできる自宅筋トレメニュー6選
腰痛があるときほど大切なのは、腰そのものを動かすのではなく、体幹と股関節を安定させる筋肉を正しく働かせることです。
ここで紹介する6つのメニューは、どれも自宅で取り組めて、腰への負担が少なく、初心者でも安全に行いやすいものばかりです。
それぞれの種目では、
- なぜ腰痛改善に効果があるのか
- 正しいフォーム
- よくあるNG例
をわかりやすくまとめています。
どの種目から始めればいいのかわからないという方でも、6つの中から2〜3種目を選んで続けるだけで、
・動くと腰が不安定
・立つと痛い
などの悩みが少しずつ減り、腰の安定感が明らかに変わってきます。
①デッドバグ|腹圧を保ったまま動かす体幹トレ
デッドバグは、腹横筋や多裂筋をしっかり働かせることができる体幹トレーニングです。
仰向けで行うため腰に負担がかかりにくく、初心者でも腹圧を保つ感覚をつかみやすいのが特徴です。
🔸正しいやり方
- 仰向けになり、股関節と膝を90度に曲げる
- 両手を天井に伸ばす
- お腹を軽く締め、腰が反らない位置でセット
- 片方の手と反対の脚をゆっくり伸ばす
- 元の位置に戻し、左右交互に繰り返す
🔸NG例
- 手足を伸ばすとき腰が反ってしまう
- お腹の力が抜けて背中が浮く
- 動作が速くなり体幹が安定しない
腹圧が保てているかどうかが最大のポイントです。
腰痛改善の土台作りとして最初に取り入れたいメニューです。
②バードドッグ|脊柱と骨盤を安定させる定番メニュー
バードドッグは、脊柱の安定性と骨盤のコントロールを高める体幹トレーニングです。
四つ這いで行うため、腰に直接負荷をかけずに全身の連動を整えることができます。
🔸正しいやり方
- 四つ這いになり、手は肩の真下、膝は骨盤の真下へ
- お腹を軽く締め、背中をフラットにする
- 片腕と反対の脚をゆっくり伸ばす
- 骨盤が左右に傾かないようにキープ
- ゆっくり戻して左右交互に繰り返す
🔸NG例
- 脚を高く上げるあまり腰が反る
- 腕と脚がブレて、骨盤が左右に揺れる
- 首が反って目線が上に向く
動作中に身体の軸がブレないほど効果は高まります。
腰痛改善だけでなく、姿勢の安定にも役立つ定番メニューです。
③ヒップリフト|お尻を鍛えて腰への負担を軽減
ヒップリフトは、大臀筋を中心に臀筋群を鍛えられるトレーニングです。
腰痛の原因になりやすい「お尻が使えない状態」を改善し、腰への負担を大きく減らします。
🔸正しいやり方
- 仰向けになり、膝を立てる(脚は腰幅)
- かかとで床を押してお尻を持ち上げる
- 腰ではなくお尻で持ち上げる意識を持つ
- 肩から膝までが一直線になったら1秒キープ
- ゆっくり下ろす
🔸NG例
- 腰を反らせて持ち上げてしまう
- 太もも前(大腿四頭筋)ばかり疲れる
- 動作が速く、コントロールできていない
お尻の筋肉が働くようになると、立つ・歩くなどの日常動作が安定し、腰の負荷が大きく軽減されます。
④ワイドスクワット|股関節を使って腰の負担を分散
ワイドスクワットは、通常のスクワットよりも股関節を使いやすいため、腰への負担を軽減しながら下半身全体を鍛えられます。
股関節がスムーズに動くようになることで、腰が代わりに頑張ってしまう代償動作を防げます。
🔸正しいやり方
- 足を肩幅より広めに開き、つま先をやや外に向ける
- 胸を張り、お腹に軽く力を入れる
- 股関節を後ろに引くようにしてしゃがむ
- ももの付け根に力を感じながら立ち上がる
- 足裏全体で床を押す意識を持つ
🔸NG例
- 腰が丸まったまましゃがむ
- 膝だけが前に出て股関節が動いていない
- つま先と膝の向きがズレる
ヒップリフトと組み合わせると臀筋群の働きが強まり、腰の安定にもつながります。
⑤ニー・トゥ・チェスト|骨盤の安定性を改善
ニー・トゥ・チェストは、腸腰筋を中心に股関節まわりを鍛えつつ、骨盤の安定性を高めるトレーニングです。
座り姿勢が多い方や、反り腰・猫背姿勢になりやすい方に特に効果があります。
🔸正しいやり方
- 仰向けで両膝を立てる
- 片膝を胸にゆっくり引き寄せる
- 腰を反らせずに股関節の動きを感じる
- ゆっくり戻して反対側も同様に行う
🔸NG例
- 膝を引き寄せるとき腰が反る
- 動作が速く、股関節の動きを感じない
- 腰に痛みが出るほど強く引き寄せる
腸腰筋が適切に働くようになると、姿勢が整い、腰の負担が自然と減っていきます。
⑥サイドプランク|左右差を整える体幹強化
サイドプランクは、体幹の中でも側面の筋肉(腹斜筋・中臀筋)を鍛えられるトレーニングです。
左右差がある人は腰痛が出やすく、サイドプランクはそのバランスを整えるのに最適です。
🔸正しいやり方
- 横向きになり、肘を肩の真下に置く
- 膝または足を伸ばし、腰を持ち上げる
- 頭から足まで一直線をキープ
- 骨盤が前後に傾かないように注意
- 30秒前後を目安にキープ
🔸NG例
- 腰が落ちて身体がくの字になる
- 肩がすくんで首に力が入る
- 呼吸が止まってしまう
左右バランスが整うことで姿勢が安定し、腰の負担が減りやすくなります。
目的別|筋トレメニューの選び方

腰痛といっても、痛みの種類や生活習慣、体力レベルは人それぞれです。
そのため、どんな筋トレを行うべきかは目的別に分けて考えることで、無理なく続けやすくなり、効果も実感しやすくなります。
ここでは、
- 痛みが軽い日に行うリハビリ強度のメニュー
- 慢性腰痛の方向けの安定性アップメニュー
- 運動不足の方でも始めやすい3種メニュー
の3つに分けて、最適な組み合わせを紹介します。
自分の状態に合わせて選ぶだけで、腰痛改善への道のりがぐっとスムーズになります。
痛みが軽い日のリハビリ強度ルーティン
痛みがまだ少し残っている日や、今日は動けるけど不安があるという状態では、腰に負担をかけないリハビリ強度のメニューが適しています。
ポイントは、体幹の安定を優先し、腰を大きく動かさないことです。
🔸おすすめの組み合わせ
- デッドバグ
- バードドッグ
- ニー・トゥ・チェスト
どれも腰への負担が軽く、腹横筋・多裂筋・腸腰筋など、腰を守る筋肉を働かせやすいメニューです。
🔸このルーティンの目的
- 腹圧を保ちやすくする
- 脊柱を安定させ、動作のクセを整える
- 痛みが出にくい姿勢をつくる
実際に、痛みが不安定な時期のクライアントにはこの3種から始めてもらうことが多いのですが、
- 動いたほうがラクになる
- 翌日のこわばりが減る
と言われることがとても多いルーティンです。
軽い運動でもフォームが整うと、腰の安定感はしっかり戻ります。
慢性腰痛向け「安定性アップルーティン」
慢性的な腰痛がある場合は、体幹と股関節を安定させる筋肉を強化し、日常動作で腰が頑張りすぎない体をつくることが目的になります。
ポイントは腰に負担をかけず、股関節で動く感覚を身につけることです。
🔸おすすめの組み合わせ
- デッドバグ
- ヒップリフト
- ワイドスクワット
この3つは体幹と臀筋群の同時強化ができ、腰痛改善に直結しやすいメニューです。
🔸このルーティンの目的
- 体幹の安定性を高め、腰が反りにくい体にする
- 臀筋の働きを引き出し、腰の代償動作を減らす
- 股関節をしっかり使って動けるようにする
長年腰痛に悩む方ほど、お尻がうまく使えていないケースが非常に多いです。
実際、このルーティンを数週間続けるだけで
- 歩くときの腰の重だるさが消えた
- 階段がラクになった
と変化を実感する方が多く、改善速度が一気に上がる傾向があります。
継続することで、立つ・歩くといった基本動作が安定し、腰への負担が自然と軽減されます。
運動不足の人向け|まずは3種だけ始めるメニュー
普段あまり運動をしていない方や、筋トレを続けられるか不安な方は、まずはシンプルな3種だけに絞るのがおすすめです。
大切なのは無理なく習慣化できる筋トレメニューを選ぶことです。
🔸おすすめの3種
- デッドバグ
- ヒップリフト
- バードドッグ
この3つは負荷が軽めで、体幹と股関節の基本的な筋肉をバランスよく鍛えられます。
🔸このルーティンのメリット
- 初心者でもフォームが習得しやすい
- 毎日5〜10分で取り組める
- 腰の安定に必要な筋肉を無理なく強化できる
まずは3種だけでも十分効果があります。
運動習慣がまったくなかったクライアントでも、この3種に絞ると継続率がとても高く、1ヶ月続けるだけで
- 起き上がりがラクになった
- 朝の腰のこわばりが減った
と実感される方が多いです。
小さな習慣でも、積み重ねると腰痛改善に大きくつながります。
慣れてきたら、ワイドスクワットなど股関節を大きく使うメニューを追加すると、さらに腰の安定感が増していきます。
腰痛改善のために筋トレをメニュー通り続けるコツと注意点

腰痛改善のための筋トレは、正しいフォームで無理なく続けることが何より大切です。
せっかく良いメニューを選んでも、呼吸が乱れたり、痛みをガマンして動いてしまうと効果が出にくく、逆に腰へ負担がかかることがあります。
ここでは安全に効果を高めるための3つのポイントを紹介します。
- 腹圧(呼吸)を使ったフォームづくり
- 可動域を広げすぎない動き方
- 週3回で続けられる現実的な習慣化
どれも今日から取り入れられるシンプルなコツなので、メニューと合わせて実践すると腰の安定性が段階的に高まります。
腹圧(呼吸)を使った安全なフォームづくり
腰痛改善の筋トレでは、腹圧をしっかり使えるかどうかがフォームの安定を大きく左右します。
腹圧とはお腹の内側に空気をためて押し広げる力のことで、腰椎を内側から支える天然のサポーターのような役割があります。
🔸腹圧を使うコツ
- 鼻から息を吸い、お腹をふくらませる
- その膨らみを保ったまま、ゆっくり動く
- 腰が反ったり丸まったりしない範囲でキープ
腹圧が抜けると、体幹が不安定になり、腰だけに負担が集中してしまいます。
デッドバグやバードドッグなどのメニューは腹圧を入れたまま動く練習に最適で、腰痛改善の土台づくりとして非常に効果があります。
実際の指導でも、腹圧が入った瞬間に
- 腰が軽い
- 動きが安定した
と変化を感じる方が多く、フォーム改善の初期段階で最も効果が出やすいポイントだと日々実感しています。
可動域は7割でOK|痛みを避ける動作のコツ
腰痛があるときは大きく動かさないといけないと思いがちですが、むしろ逆で、可動域は7割程度で十分効果が出ます。
特に、
- 腰が反る
- 骨盤が傾く
- 太ももや背中に力が入りすぎる
といった動きは代償動作が起きているサインです。
痛みを避けながら筋トレを続けるためには、
痛みが出ない範囲で小さく動く→安定してきたら少しずつ動作を大きくする
という流れが安全です。
実際のところ、多くの方は動かしすぎて痛くなるケースが非常に多く、
可動域を7割に抑えるだけで痛みが改善する例がよくあります。
とくに慢性腰痛の方ほど、動きを小さくしたほうがフォームが安定し、結果として改善が早い傾向があります。
特にリハビリ強度で行う場合は、気持ちよく動ける範囲にとどめておくことが大切です。
週3回で効果を出す継続スケジュール
腰痛改善の筋トレは、毎日長時間行う必要はありません。
むしろ、週3回・1回30分をコツコツ続けるほうが効果が出やすいです。
理由は、
- 筋肉が使い方を覚えるには一定の頻度が必要
- 休息を挟むことで回復しやすい
- 無理なく続けることで習慣になる
ためです。
🔸おすすめのスケジュール例
- 月:デッドバグ+ヒップリフト+バードドッグ
- 水:ワイドスクワット+サイドプランク
- 金:痛みが軽い日のリハビリメニュー
このくらいの頻度でも、体幹や股関節が安定し始め、日常動作の腰の負担が徐々に減っていきます。
私の指導でも、週3回ペースを守れた方はほぼ全員が腰の安定性を実感しており、
- 朝のこわばりが減った
- 立ち上がりがラクになった
など、日常生活の変化を感じやすくなっています。
頻度より質と継続が重要だと強く感じます。
最初は短時間でも十分です。無理のない範囲で続ける習慣を作りましょう。
腰痛改善のために筋トレと併用したいストレッチ&セルフケアのメニュー

筋トレとあわせて行うストレッチやセルフケアは、腰痛改善のスピードを大きく高めてくれます。
特に、胸椎(背中上部)の動きが硬い人や、お尻・股関節まわりがこわばっている人は、筋トレだけでは十分に効果を感じにくいことがあります。
筋トレで体を安定させつつ、ストレッチで動きやすい状態をつくることで、
「腰に負担が集中しない体の使い方」が身につきやすくなります。
ここでは、腰痛の方が取り入れると特に効果の高い2つのセルフケアを紹介します。
どちらも自宅で簡単にでき、筋トレ前後に取り入れると体の変化がさらに出やすくなります。
胸椎の動きを改善するストレッチ
胸椎(背中の上部)の動きが硬いと、前屈・後屈・ひねりといった動作で腰だけが過剰に動きやすくなり、腰痛が起こりやすくなります。
胸椎を柔らかくしておくことで、動作の負担が分散され、腰がラクに動けるようになります。
実際の現場でも、胸椎が動き始めると腰だけが動くクセが減り、痛みが軽くなる方が多いです。
🔸やり方(キャット&カウを応用した胸椎ストレッチ)
- 四つ這いの姿勢をとる
- 息を吐きながら背中を丸める(腰は反りすぎないよう注意)
- 次に吸いながら胸を軽く前に押し出すように伸ばす
- 胸椎の動きを意識しながら、ゆっくり10〜15回
※勢いをつけず、胸の動きだけを意識するのがポイントです。
🔸よくあるNG例
- 背中ではなく腰だけが動いてしまう
- 肩に力が入りすぎてすくんでしまう
- 呼吸が止まって胸椎が動かない
胸椎が動くようになると、筋トレ中の姿勢が整い、腰への負担が自然と軽くなります。
とくにバードドッグやワイドスクワットの前に行うと効果が高まりやすいです。
お尻・股関節の柔軟性を高めるセルフケア
お尻(臀筋群)や股関節が硬いと、立ち上がり・歩行・しゃがむ動作で腰ばかりが動いてしまい、痛みの原因になります。
股関節の柔軟性が戻ると、ヒップリフトやスクワットのフォームが安定し、筋トレ効果が一段と上がる方が多いです。
🔸やり方(お尻のストレッチ:仰向けクロスニー)
- 仰向けで膝を立てる
- 片足をもう一方の太ももに乗せる(数字の「4」の形)
- 下側の膝を胸に近づけていく
- お尻の伸びを感じながら20〜30秒キープ
- 反対側も同様に行う
※痛みがある場合は無理に引き寄せないのが鉄則です。
🔸やり方(股関節セルフケア:前もも・腸腰筋ストレッチ)
- 片膝立ち(ランジ姿勢)をとる
- 後ろ脚のつけ根を前に軽く押す
- 太ももの付け根が伸びているのを感じながら20〜30秒
- 反対側も行う
🔸よくあるNG例
- 腰を反ってストレッチしてしまう
- 伸び感を強く求めて無理に押し込む
- 呼吸を止めて体が緊張する
臀筋や腸腰筋が柔らかくなると、ワイドスクワットやヒップリフトが格段にやりやすくなり、腰痛改善のスピードも速くなります。
よくある質問(FAQ)

腰痛と筋トレについて、多くの方が共通して抱える疑問にシンプルかつ要点を押さえて回答します。
筋トレすると腰が痛くなる原因は?
回答:腰以外が働かず、腰だけが動きすぎているためです。
筋トレ中に腰が痛くなる人の多くは、腹圧が入らず、お腹やお尻ではなく腰だけで動作してしまっています。
本来は体幹や股関節が支えるべき動きが腰に集中することで、負担が増え痛みが出やすくなります。
スクワットは腰痛に良いのか悪いのか?
回答:正しいフォームなら良い、崩れると悪化します。
スクワットは股関節と体幹を鍛えられる優れた種目ですが、腰が丸まったり反ったりすると腰に負担がかかります。
股関節が主役になり、胸が起きた姿勢で行うことができれば腰痛改善に効果的です。
どれくらい続ければ効果が出る?
回答:4週間で多くの人が変化を感じ始めます。
腹圧が入りやすくなる、股関節が使えるようになるなど、動作のクセが改善されるのに必要な期間が約4週間。
週3回のペースで筋トレを継続すると、腰の安定感が出てくる方が多いです。
ぎっくり腰直後は筋トレをしていい?
回答:痛みが強い2〜3日は控え、痛みゼロの動作から再開します。
急性期は炎症があるため、反る・ひねるなどの動作で悪化しやすい状態です。
痛みが落ち着いてきたら、腹式呼吸やデッドバグの初歩など、腰に負担のない動作から始めると安全に戻せます。
ジムではどのメニューを選ぶべき?
回答:腰に負担が少なく、股関節と体幹が働く種目を選びましょう。
腰痛がある場合、高重量のスクワットやデッドリフトはフォームが崩れやすく危険です。
レッグプレス、ケーブルラットプルダウン、ヒップアブダクションなど、腰を過度に動かさずに鍛えられる種目のほうが、安全かつ効果的に進められます。
まとめ|腰痛は筋トレのメニュー選びで良くなるかが決まる

腰痛を改善するうえで大切なのは、痛い部分をただ動かすのではなく、体幹と股関節を正しく働かせる筋トレを選ぶことです。
この記事で紹介したメニューを続けるだけでも、腰の安定感は確実に変わります。
まずはできる範囲で構いません。
今日から3つだけ選んで、1日10分の習慣にしてみてください。
また、自宅トレーニングを安全に続けるために、
トレーニングマット、腹圧が入りやすくなるトレーニングベルトや、動きをサポートするフォームローラーも相性が良いアイテムです。
特に腰痛の方は腹圧が入りにくい傾向があるため、補助アイテムを使うことで体幹が安定し、フォームが崩れにくくなります。
腰への負担を減らしながら効果的に進めたい方は、以下のリンクからチェックしてみてください。
腰痛は正しいメニュー選びで変わります。今日の一歩が、これからの快適な動きにつながります。
参考文献・引用一覧
1. Hides JA, Richardson CA, Jull GA.
Multifidus muscle recovery is not automatic after resolution of acute, first-episode low back pain.Spine (Phila Pa 1976). 1996 Dec 1;21(23):2763-9. PMID: 8979323
2. Saragiotto BT, et al.
Motor control exercise for chronic non-specific low-back pain.Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jan 7;CD012004. PMID: 26742533
3. Caterisano A, et al.
The effect of back squat depth on the EMG activity of 4 superficial abdominal muscles.J Strength Cond Res. 2002 Aug;16(3):428-32. PMID: 12173958
4. Edmonston SJ, et al.
Thoracic spine mobility and its relationship to function.Man Ther. 2011 Apr;16(2):148-54. PMID: 21145264
