産後の腰痛はいつから筋トレOK?腹直筋離開チェックと骨盤底筋ステップ

アイキャッチブラック太郎
この記事でわかること

※この記事は一般的な目安です。

帝王切開や合併症がある場合は、出産した産婦人科(主治医)の指示を最優先にしてください。

この記事の結論(3行まとめ)
  1. 骨盤底筋→呼吸→軽くドローイン→ヒップリフトの順で整えると、腰の力みが減りやすいです。
  2. 産後の筋トレ再開は週数より「悪露・痛み・呼吸」の3点で判断します。
  3. 悪露が増える・発熱・強い痛みがある日は、筋トレより先に産婦人科(主治医)へ相談します。

監修・執筆:ブラック太郎

柔道整復師・鍼灸師・NASM-PES認定。整形外科クリニック、パーソナルトレーニングジム、整骨院での臨床経験14年以上。

腰痛と運動指導に特化したサポートを続けています。

目次

結論:産後は時期より「からだのOKサイン」で決める

OKかNGを示すブラック太郎

産後の筋トレ再開の目安は、週数よりからだのOKサインで判断します。

米国産科婦人科学会(ACOG)の2020年ガイドラインでは、合併症のない産後の女性は産後すぐから運動を再開できるとし、産後の身体活動を積極的に推奨しています(ACOGCommitteeOpinion804,2020)。

一方で、帝王切開や合併症がある場合は主治医の判断を優先すること、体調に応じて段階的に強度を上げることも示されています。

ここでいう「すぐ再開できる運動」は、歩く・呼吸・骨盤底筋のような軽い動きが前提であり、高負荷の筋トレ再開とは別の話です。

週数より体のサインを見ながら進めるというこの記事の方針は、その推奨の方向と一致しています。

出産の経過、寝不足、授乳、痛みの出方は人によって違います。

同じ週数でも、疲労や痛みの出方でできる運動が変わります。

実際に現場でも、「6週までは一切うごかない」と止めすぎて、体がかたまり腰がつらくなるクライアントもいます。

一方で、悪露が増えているのに「早く戻したい」と回数や時間を増やして、逆に回復が遅くなるケースもあります。

だから私は、週数よりも「からだの反応」で進め方を決めます。

【早見表】きょう何をする?(迷ったらこの3択)

  • 相談優先:悪露が増える/発熱/強い痛み→筋トレは中止して主治医へ
  • 整える日:痛みが0〜10で3以上、だるい・寝不足→骨盤底筋+呼吸+軽いドローインまで
  • 進める日:悪露が増えない、痛み0〜2、吐いても腰が反らない→ヒップリフトまでOK

軽い運動を始めやすいからだのOKサイン

「時期で決めない」とはいえ、最初の一歩の目安がないと迷います。

次のサインをからだのOKサインとして使ってください。

からだのOKサイン(6つの目安)

  • 症状のチェック(2つとも当てはまること)
    1. 悪露が増えていない(量・色・においの悪化がない)
    2. 安静時に強い痛み・発熱がない
  • 動作のチェック(できるほど始めやすい)
    1. 立つ・歩く・抱っこで痛みが急に悪化しない
    2. 息を吐くと、お腹の力がふっと抜けて楽になる感じがある
    3. 吐いたときに腰が反らず、肩や首が力まない
    4. 吐き切っても息が止まらない

※①②がそろったうえで③〜⑥が確認できるほど、軽い動きから入りやすいです。

④〜⑥は「やってみて確認するもの」なので、不安なら主治医に相談してから始めてください。

「軽い運動」は、まず歩く・やさしい呼吸・骨盤底筋の意識のような低負荷が中心です。

産後は体調が許せば、こうした軽い動きは早期から再開できることが多いです。

※週数の目安がほしい人は、産後1か月健診で「運動してよい範囲」を主治医に確認すると安心です。

帝王切開は特にここを優先してください。

帝王切開や合併症があるなら、先に産婦人科(主治医)へ確認します

帝王切開、出産後の合併症、強い貧血などがある場合は、「からだのOKサインがある」だけで自己判断しないほうが安全です。

おなかの傷の状態、感染のサイン、回復の見立てはまず、出産した産婦人科(主治医)に確認してください。

先に主治医確認が必要なケース

  • 帝王切開での出産
  • 出産や産後経過で「要注意」と言われた
  • 傷の痛みが強い、赤み・熱感・傷がじゅくじゅくする・液が出る
  • めまい・動悸が強く、日常生活がつらい

「動き出してよい範囲」を産婦人科(主治医)から確認できると、安心して次へ進めます。

迷ったら「きょうは整える日」にします

判断に迷う日は、トレーニングではなくコンディション調整に徹します。

呼吸と骨盤底筋の感覚づくりだけでも、腰の負担を減らせる場合があります。

動く前に確認(受診・相談したいサイン)

体のサインを示すブラック太郎

悪露(産後の出血)が増える/強い痛み/発熱がある日は、筋トレより先に相談です。

体のサインを無視すると回復が遅れるので、まずは出産した産婦人科(主治医)へ連絡してください。

悪露が増える/強い痛み/発熱などがある場合

その日は筋トレを中止し、主治医へ連絡が先です。

産後は悪露が続く時期ですが、運動で一時的に増えたとしても、休んだら落ち着くのが基本です。

休んでも増え続ける、症状が強いときは感染などの可能性もあるため、早めの相談が必要になります。

相談を優先したいサイン(目安)次のどれかがあれば、筋トレはやめて連絡してください。

  • 悪露が明らかに増える(例:1時間でナプキンが1枚以上びしょぬれになる)
  • 大きな血のかたまりが出る、組織のようなものが混じる
  • 38℃以上の発熱、寒気、急に強いだるさが出る
  • 下腹部の痛みが強い/だんだん悪化する、休んでも引かない
  • 悪露のにおいがいつもと違う(強いにおい・不快なにおい)
  • 帝王切開の傷や会陰部が、赤い・熱い・腫れる・液が出るなどの変化がある

※臨床でもまず体の異常サインがないか確認します。

ここを飛ばすと、運動の良し悪し以前に回復が遅れます。

連絡先の優先順位

  • まずは出産した産婦人科(またはかかりつけ)
  • 夜間や迷う場合は救急外来
  • 立てない、意識が遠い、大量の出血が止まらないなど緊急性が高いと感じたら「119」も選択肢です

このパートに当てはまる日は、筋トレで何とかしようとせず、まず相談してください。

次の手順(骨盤底筋や呼吸、体幹の整え)へ進むのは、相談して「動いてよい範囲」が確認できてからで十分です。

産後に腰痛が出やすい理由

受診のサインを示すブラック太郎

産後の腰痛は姿勢の積み重ねと支える力の戻り途中で起きやすいです。

産後に腰がつらくなるのは、めずらしいことではありません。817名の女性を産後12か月追跡した観察研究では、出産直後に6割以上が腰痛を経験し、12か月後も約4割に症状が残ったと報告されています。

一方で、回復した人の多くは産後6か月以内に痛みが消えており、長引く人には「妊娠前からの腰痛歴」や「身体的に負荷の高い仕事」などの要因が関係していたとされています(Ostgaardetal.,Spine,1992)。

「どこかが悪くなったのかも」と不安になりますが、まずは日常動作の負担と支える力の戻り具合を簡単に整理すると落ち着きます。理由がわかると、やるべき対策もはっきりします。

抱っこ・授乳姿勢/前かがみの積み重ね

産後の腰は、抱っこ・授乳・おむつ替えの姿勢でじわじわ消耗しやすいです。

重いものを一回だけ持って痛めるより、前かがみ+ねじり+片寄りの積み重ねが、腰への大きな負担になります。

臨床でも「長時間の抱っこが一番腰がつらい」というクライアントが多いです。

授乳で背中が丸まり、肩がすくみ、顔が前に出ます。

その姿勢のまま立ち上がりや寝かしつけを繰り返すと、腰が休む時間が減ります。

対策は難しくありません。

赤ちゃんを体に近づける、ひじや背中をクッションで支える、前かがみは股関節から折るだけでも腰の負担が軽くなります。

まずは「姿勢を完璧にする」より、「同じ形を続けない」を優先すると続けやすいです。

体幹・骨盤まわりの支える力が戻り切っていない

産後は、体幹と骨盤まわりの「支える仕組み」が、まだ本調子ではないことが多いです。

具体的には、骨盤底筋・おなか周り・呼吸の連動が弱まり、腰の筋肉が代わりに頑張りやすくなります。

「腹筋が弱いから腰が痛い」と決めつける必要はありません。筋力そのものより、支える順番が乱れているだけのケースも多いからです。

本来は、息を吐くとおなか周りがうっすら締まり、骨盤がグラつきにくくなります。

目安は「吐いても腰が反らない」「肩や首が力まない」の2点です。

その仕組みが戻り切っていない時期は、腰が先に緊張しやすくなります。

ここは、強い筋トレで押し切るより、骨盤底筋→呼吸→軽い体幹の順で整えるほうが安全です。

腹圧(おなか周りの支え方)の全体像が気になる方は、腰痛でも筋トレが怖くない腹圧の教科書|ドローイン・ブレーシングの使い分けと仕組みも参考になります。

腹直筋離開の簡易チェック(セルフチェック)やり方と注意

骨盤理解のセルフチェックを示すブラック太郎

痛みが出たら中止、ドームが出るなら負荷はまだ早いです。

まずこれだけ確認(3秒判断)

  • ドームが出る(お腹の真ん中が山になる)→その負荷はまだ早いです
  • 痛みが出る→その場で中止して主治医へ
  • どちらもない→骨盤底筋+呼吸から進めてOKです

自己チェックは診断ではなく、安全に進めるための目安です。

産後に「おなかに力が入りにくい」「体幹が抜ける感じがする」ときは、腹直筋離開が関わる場合があります。

2016年にノルウェーの研究グループが300名の女性を追跡した調査(Sperstadetal.,BrJSportsMed)では、産後6週時点で約6割に腹直筋離開が確認されましたが、産後12か月には約3割まで自然に回復したと報告されています。

つまり、産後しばらくは一定数の方に起こりうる状態であり、焦らず安全に動けるかを確認することが大切です。

ただし自己チェックは診断ではありません。

不安を増やすためではなく、安全に運動を進める目安として使います。

痛みや違和感が出るなら中止し、まずは出産した産婦人科(主治医)へ相談してください。

チェック手順(痛みが出るなら中止)

腹直筋離開のチェックは確認が目的なので、1〜2分で終えます。

痛み・強い違和感・気分不良が出たら、その場で中止してください。

チェックはおなかの真ん中(白線=おなかの真ん中のすじ)に指を当てて、隙間や盛り上がりを確認します。

チェック前の注意

  • 悪露が増える、発熱がある、強い痛みがある日は行いません
  • 帝王切開の傷まわりに痛みや引きつれがあるなら、無理に試さないでください
  • 息を止めて力む動きは避けます

チェック手順(1〜2分でOK)

  1. 仰向けになり、ひざを立てます
  2. 片手は頭の後ろ、もう片手の指先を「おへその少し上」に当てます
  3. 息を吐きながら、頭と肩を少しだけ持ち上げます(肩甲骨が床から少し離れる程度で止めます)
  4. 指先で確認するのは2つです
    • ①指が「スッと沈む感じ」が強いか(深さ)
    • ②指の左右で、筋肉に当たる感触があるか(真ん中がやわらかいままか)
    • ※「左右の端を探す」より、真ん中が支えられているかを見ると迷いません
  5. 同じやり方で「おへその位置」「おへその少し下」も確認します

見るポイント

スクロールできます
項目目安
指2本分以上スッと入る場合は参考サイン(ただし幅より「深さ」と「ドーム」を優先。幅が小さくても深く沈む・ドームが出るなら負荷はまだ早いです)
深さ沈みにくい/沈みやすい
ドーム出ない/出る(真ん中が山になる)
痛みない/ある(あれば中止)

※腹直筋離開の「幅の基準」は専門家によって見解が異なるため、指の本数だけで判断しないようにしてください。

このチェックで最も重要なのは「ドームが出るか」と「深く沈むか」の2点です。

指が入る幅が小さくても安心とは限りません。

指が奥まで沈む、または力を入れたときにお腹の真ん中が山のように盛り上がる(ドーム)場合は、お腹まわりで支える感覚がまだ作りにくい目安になります。

チェック結果の読み方

  • ドームが出ない/痛みがない範囲なら:「骨盤底筋+呼吸+軽いドローイン」から進めやすいです
  • ドームが出る・深く沈む場合は:腹筋系の負荷は急がず、まずは整えるステップを優先します

離開が疑われるときに避けたい動き

おなかが前に押し出される動き(ドーム状)を避けます。

離開が疑われる時期に怖いのは、腹筋運動そのものよりも「腹圧が前に漏れる形」です。

動作中におなかの真ん中が盛り上がるなら、その負荷がまだ早いサインになります。

避けたい動きの例

  • 勢いをつける腹筋(起き上がり・反動のある腹筋)
  • 両足を浮かせたまま行う動き(レッグレイズ系)
  • 長い時間こらえるプランクを、息を止めて行うやり方
  • 重いものを持つときに息を止めて踏ん張る動き
  • 起き上がりで「腹を突き出す」クセが出るパターン

代わりに優先したい考え方

  • 「吐いて、締めて、軽く動く」を先に作ります
  • ドーム状が出ない範囲で、骨盤底筋と呼吸から整えます
  • 強い腹筋より、まずは日常動作(抱っこ・立ち上がり)で崩れない形を目指します

不安になって全部やめる必要はありません。

やり方を変えるだけで進められるケースが多いので、次のパートの手順に沿って安全に組み立てていきましょう。

ステップ1:骨盤底筋(尿もれ・腰の支えの土台)

骨盤底筋トレーニングをするブラック太郎

産後の腰を支える土台は、腹筋だけではありません。骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)が土台になります。

2024〜2025年に発表されたメタ分析(Haakstadetal.,BrJSportsMed)では、産後1年以内に骨盤底筋トレーニングを継続した場合、しなかった群と比べて尿失禁が起きるオッズが約37%、骨盤臓器脱が起きるオッズが約56%それぞれ低かったと報告されています。

これは「全員が改善する」ではなく、継続した群としなかった群を比較したときの相対的な差である点に注意してください。

骨盤底筋がふわっと働くだけで、尿もれへの不安が和らぎ、腰のがんばりが抜けやすくなる場合があります。

産後は体調が安定していれば、早めから始めやすい運動の一つです。

(悪露が増えない/強い痛み・発熱がない範囲なら)呼吸とセットで始めやすいです。

帝王切開や合併症がある場合は、出産した産婦人科(主治医)の指示を最優先にしてください。

骨盤底筋と骨盤の支えを部位別に詳しく知りたい方は、「骨盤底筋・骨盤の安定を深掘りした部位別ガイド(ID29)」も参考にしてください。

骨盤底筋の基本(締め方のコツ)

骨盤底筋は「強く締める筋トレ」というより、やさしく持ち上げて、しっかりゆるめる練習です。

臨床でも、力みすぎてお尻や内ももが先に入る人が多いので、まずはコツを押さえると失敗が減ります。

締め方のコツ(うまくいく順番)

  1. 姿勢
    • あお向けでひざ立て、肩の力を抜きます
  2. 呼吸
    • 息を吐きながら、おへそを軽くへこませます
  3. 意識
    • 「尿を止める・ガスを我慢する」を同時にふわっと行います(実際のトイレ中に止める練習はせず、イメージとして使います)
  4. 強さ
    • 最大の3〜4割で十分です(強さより正確さが大事です)
  5. 時間
    • 2〜3秒持ち上げたら、同じくらいの時間でゆるめます

コツは「締める」より「ゆるむ→吐く→持ち上がる」の流れを作ることです。

この感覚が出ると、次のステップの呼吸にもつながります。

よくあるNG(腰痛につながりやすい)

  • 息を止めて力む
  • お尻をギュッと締める
  • 内ももに力が入りすぎる
  • ずっと締めたままでゆるめる時間がない

感覚がよくわからない」場合

産後は骨盤底筋の感覚が鈍くなっている人も多く、うまくいかなくても焦る必要はありません。

まずは「息を吐く」だけに集中してみてください。吐くと横隔膜が上がり、連動して骨盤底筋もわずかに持ち上がります。

「締める意識」より「吐く」を先にするほうが感覚をつかみやすいです。

それでも感覚がまったくわからない場合は、産婦人科や助産師への相談が一番の近道になります。

1日の目安(短時間×複数回)

※痛みや違和感が出た日は量を減らすか中止します。

骨盤底筋は、まとめて長時間やるよりも、短時間を複数回のほうが続きます。家事や授乳の合間に挟むイメージでOKです。

1日の目安(例)

  • 1回:1〜2分
  • 回数:1日2〜4回
  • 内容:8〜10回×1セット(2〜3秒上げて、2〜3秒ゆるめる)
  • 余裕があれば、最後に5秒キープを3回だけ足します(息は止めません)

やりすぎ注意のサイン

やりすぎると、骨盤底筋がこわばって逆効果になることがあります。次の変化が出たら量を減らしてください。

  • 下腹部や会陰(股の奥)が重だるい
  • 腰やお尻が張る
  • 尿もれが増える、違和感が強くなる
  • 痛みが出る

少なめでも、毎日続けることが回復を後押しする一因になる場合があります。

このステップが安定したら、次は呼吸(腹圧の作り方)へ進みます。

ステップ2:呼吸→軽くドローイン(下腹の再教育)

ドローインするブラック太郎

骨盤底筋の感覚が少し出てきたら、次は呼吸と下腹の連動を取り戻します。

ステップ1との違い:骨盤底筋は「ゆるめて持ち上げる」という点的な感覚づくりでした。

ステップ2では、その感覚を呼吸と連動させて「吐くたびに下腹がうっすら働く」持続的なコルセット感覚へと広げていきます。

ステップ1ができていなくてもステップ2から始めて構いませんが、どちらも「力む」ではなく「吐く」が先という点は共通です。

産後の腰痛は「腹筋が弱い」より、息を止めて体を固めるクセで悪化することが多いです。

ここでは強くへこませるのではなく、呼吸を止めず軽くドローインで「下腹がうっすら働く状態」を作ります。

イメージは腹圧を強く高めるというより、おなかの奥が「薄いコルセットみたいにうっすら働く」状態です(=腹横筋)。

腹圧の全体像や使い分けは、腰痛でも筋トレが怖くない腹圧の教科書|ドローイン・ブレーシングの使い分けと仕組みにまとめています。

呼吸を止めず軽くドローイン

吐きながらうっすら下腹が張る強さで十分です。

ドローインは、おなかをへこませて耐える運動ではありません。

産後は特に、力みすぎると腰が反ったり、骨盤底筋がこわばって逆効果になりやすいです。

やり方のポイント(カンタン版)

  1. あお向けでひざを立て、肩と首の力を抜きます
  2. 鼻で吸って、口から細く長く吐きます
  3. 吐く息に合わせて、下腹がうっすら平らになる感覚を作ります
  4. 「へこませる」より細く長く吐き切るを優先します
  5. できているサインは、息を吐いても腰が反らず、顔が赤くならない/歯を食いしばらないことです

目安:30〜60秒×1〜2回。疲れる前に止めます。

臨床でも、うまくいく人は「頑張ってへこます」より、吐くのが上手いです。

吐けるほど体幹が自然に締まり、腰の力みが減りやすくなります。

よくあるNG(腰に来やすい)

  • 息を止めておなかを固める
  • 胸だけが動いておなかが動かない
  • 下腹をへこませすぎて体が丸まる
  • お尻や太ももに力が入りすぎる
  • その場・翌日で腰痛が増える
  • 悪露が増える
  • 38℃以上の発熱

強い痛みがある日は中止して、出産した産婦人科(主治医)へ相談を優先します。

※ドローインの詳細手順(回数・姿勢のバリエーション・段階づけ)は、腰痛でもできるドローインのやり方|段階別手順と5つのつまずき解決にまとめています。

ここでは「呼吸を止めない薄さ」だけ守って先へ進んでください。

ステップ3:お尻(ヒップリフトの産後向け軽負荷)

ヒップリフトするブラック太郎

呼吸と下腹の感覚が少し戻ったら、次はお尻で体を支える感覚を取り戻します。

産後の腰痛は、腰で踏ん張る場面が増えるほどつらくなりやすいです。

ヒップリフトは、腰を大きく動かさずに「お尻に仕事を渡す」入り口として使いやすい種目です。

腰が反らない範囲でのブリッジ(グルートブリッジ)/ヒップリフト

高さより腰が反らないことを最優先にします。

産後向けは、がんばって高く上げるブリッジではありません。

お尻に効いて、腰がラクになる軽負荷の形を作ります。

セットアップ(失敗を減らす形)

  • あお向けでひざを立て、足は腰幅
  • かかとはお尻に近すぎない位置(近すぎると腰が反りやすいです)
  • 肋骨が開かないように、息を吐いてからスタートします

動き方(産後向けのポイント)

  1. 口から息を吐き、下腹をうっすら張ります(軽くドローイン)
  2. つま先ではなく、かかとで床を軽く押しながら、お尻をゆっくり持ち上げます
  3. 高さは「腰が反らない」「肋骨が開かない」範囲で止めます
  4. 1〜2秒止めて、お尻(左右)の奥がキュッと張る感覚を確認します
  5. 息を止めずに、ゆっくり下ろします

目安(軽負荷でOK)

  • 6〜10回×1〜2セット
  • 週に2〜4日(体調に合わせます)
  • 途中で腰に違和感(痛み・つっぱり)が出たら、その日は終了して次回に回します

よくあるNG(腰に来るパターン)

  • 上げるたびに腰が反る、肋骨が開く
  • 反動でドンっと上げる
  • かかとが浮く、つま先で押してしまう
  • 首や肩に力が入り、息が止まる

腰が痛い・お尻に効かない・太もも裏がつる原因と直し方は腰痛が不安でもできるヒップリフトのやり方|もも裏がつる・お尻に効かないを3つで直す

よくあるNG(悪化しやすいパターン)と対策

上体起こしで腰痛になるブラック太郎

産後の筋トレは「正しく積む」と味方になります。

ただし、がんばり方を間違えると腰が先に悲鳴を上げます。

ここでは現場でよくある悪化しやすい2パターンを先にお伝えして、同じ失敗を防ぎましょう。

いきなり腹筋追い込み/反り腰で頑張る(産後の腹筋は急がない)

産後は追い込む腹筋より、「支える順番」を整えるほうが安全です。

※支える順番=骨盤底筋→呼吸→下腹(軽いドローイン)→お尻の順です。

早く戻したくて腹筋を追い込むと、息が止まりやすくなります。

その結果、腰が反って肋骨が開き、腰の筋肉が代わりにがんばります。

これが「腹筋をやったのに腰が痛い」という典型的なパターンです。

とくに避けたいのは、次のような形です

  • 反動を使う腹筋(起き上がり系)
  • 息を止めたままの腹圧づくり
  • 反り腰のまま回数だけ増やす
  • 「おなかが前に出る形」を放置して続ける

対策はシンプルです。

骨盤底筋→呼吸→軽くドローイン→ヒップリフトの順で戻します。

「腰が反らない」「息が止まらない」この2点を守れれば、それで十分です。

疲労が強い日に無理をする

産後は体調がメニューです。

無理な日は負荷を下げます。

寝不足やだるさが強い日は、フォームが崩れやすくなります。

結果として腰で踏ん張る割合が増え、痛みがぶり返しやすいです。

だから私は「きょうの体調で、きょうの強度を決める」を軸にしています。

今日の判断軸(3段階でOK)

※痛みは0(痛くない)〜10(最悪)で考えます

  1. 中止して相談寄り
    • 悪露が増える/発熱がある/強い痛みがある・休んでも痛みが引かない→この日は筋トレより先に相談が優先です。
  2. 整える日(短時間)
    • 寝不足でふらつく、だるさが強い・痛みが0〜10で「3以上」ある→ステップ1(骨盤底筋)とステップ2(呼吸・軽くドローイン)だけにします。
  3. 進める日(軽負荷)
    • 悪露が増えていない・痛みが0〜10で「0〜2」・息を吐いても腰が反らない→ステップ3(ヒップリフト)まで進めてOKです。

やり切ることより、翌日に疲れを残さないことが大切です。

迷う日は短く終える方が安全に積み上がります。

1週間の進め方(3〜8分で回る産後腰痛メニュー)

一週間のメニューを示すブラック太郎

産後の運動は、気合いで長くやるより、短時間で回る形を先に作ったほうが続きます。

私は現場でも「最小で回るルーティン」を渡して、体調が整うほど少しずつ足す流れにしています。

このルーティンは、産後の腰痛がぶり返しにくい順番で組んでいます。

毎日やっても負担になりにくい骨盤底筋→呼吸→軽くドローイン→余裕があればお尻の順で組みます。

1週間の基本メニュー(ルール)

  • 1回3〜8分でOKです
  • 「完璧にやる」より止めどきを守ります
  • 悪露が増える/38℃以上の発熱/強い痛みがある日は中止して、出産した産婦人科(主治医)へ相談を優先します
  • 息を止めない、反り腰で頑張らない、追い込まないの3つを守ります

1日メニュー(最小で回る順番)

  • 骨盤底筋
    • 1〜2分息を吐きながら、ふわっと持ち上げて、同じくらいでゆるめます。
    • 強さは3〜4割で十分です。
  • 呼吸
    1. 1〜2分鼻で吸って、口から細く長く吐きます。
    2. 吐くほど肋骨がしぼんで下腹が薄く働きます。
    3. 骨盤底筋の「点的な締め・ゆるめ」とは異なり、ここでは呼吸のリズム自体を整えることが目的です。
    4. 息を吐いても腰が反らない感覚が出てきたら、次のドローインへ進むサインになります。
  • 軽くドローイン
    • 30秒〜1分吐きながら「下腹がうっすら張る」強さでOKです。
    • おなかをへこませて耐えないでください。
  • 余裕があればお尻(ヒップリフト)
    • 1〜3分腰が反らない高さで、ゆっくり6〜10回。
    • 翌日に張りや痛みが残るなら回数を減らします。

1週間の回し方(例)

体調で変えていいですが、迷ったらこの形が安定します。

スクロールできます
曜日内容
①②③(整える日)
①②③+④(余裕があれば)
①②③(整える日)
①②③+④
①②③(整える日)
①②③+④(体調が良ければ)
完全休み、または①②だけ(回復優先)

ポイントは「毎回④までやらない」ことです。

産後は睡眠や授乳で波があるので、整える日を多めに入れると腰が安定しやすいです。

うまくいっているサイン

  • 動いたあとに腰が軽い、重だるさが減る
  • 授乳や抱っこの姿勢が少しラクになる
  • 尿もれの不安が減る
  • 息を吐くと体幹が薄く支える感じが出る

量を減らすサイン(やりすぎ注意)

  • その日か翌日に痛みが増える
  • 悪露が増える
  • 下腹や会陰が重だるい
  • 疲労が抜けない

このサインが出たら、④は外して①②③だけに戻します。

「戻れるルーティン」があると、迷わず続けられます。

Q&A(よくある質問)

Q&Aの看板を持つブラック太郎

Q:軽くドローインはいつからOK?

A:悪露が増えず、強い痛みや発熱がなく、吐いても腰が反らない日に「30〜60秒×1回」からOKです。

産後は週数よりも「からだの反応」で安全度が変わります。

吐く息で体が固まらず、腰が反らないなら、下腹をうっすら支える練習を入れやすい状態です。

逆に、その場や翌日に腰痛が増える/悪露が増えるなら負荷が早い合図なので、いったんステップ1(骨盤底筋+呼吸)に戻すほうが安全です。

Q:腹直筋離開があると腹筋は全部NG?

A:全部NGではありませんが、「ドームが出る腹筋」は一旦ストップでOKです。

問題は「腹筋を使うこと」より、力んだ結果お腹の真ん中が盛り上がって腹圧が前に漏れる形です。

ドームが出る動き(反動の起き上がり・レッグレイズ・息止めプランクなど)は負担が強くなりやすいので避けます。

一方で、ドームが出ない範囲なら「骨盤底筋+呼吸+軽いドローイン」から安全に積めます。

Q:ヒップリフトで腰が痛い/太もも裏がつる時は?

A:その日は中止してOKです。

次回は「腰が反らない高さ」「かかとで押す」を最優先にします。

腰が痛い・太もも裏がつるの多くは、反り腰になって腰で上げている/つま先側で押してハムが頑張りすぎているサインです。

高さを欲張らず、吐いてから動き始めて、かかとで軽く押すだけで改善することがあります。

細かい調整パターンは「腰痛が不安でもできるヒップリフトのやり方|もも裏がつる・お尻に効かないを3つで直す」にまとめているので、そこで原因別に直すのが最短です。

Q:帝王切開は何から始める?

A:まずは出産した産婦人科(主治医)の許可が前提で、「呼吸→骨盤底筋」から始めます。

傷の治り方や痛み、感染リスクは個人差が大きいので、自己判断で負荷を上げないほうが安全です。

許可が出て、痛みが強くなく、悪露が増えない範囲なら、呼吸と骨盤底筋のような低負荷から進めやすいです。

腹筋の追い込みや強い体幹トレは急がず、段階的に負荷を戻していきます。

Q:悪露が増えた日はどうする?

A:その日は筋トレは中止して、まず主治医へ相談を優先します。

産後は悪露が続きますが、運動で増えたとしても休んで落ち着くのが基本です。

休んでも増え続ける、量が明らかに多い、においが強い、血のかたまりが出る、発熱や強い下腹痛がある場合は、感染などの可能性もあるため早めの相談が安全です。

「筋トレの工夫で何とかする日」ではありません。

まとめ

産後の腰痛は、気合いで押し切るより、順番どおりに整えるほうが安定します。

ポイントは「強さ」ではなく、支える順番です。

3ステップのまとめ

  • ステップ1:骨盤底筋(尿もれ・腰の土台)
  • ステップ2:呼吸→軽くドローイン(下腹の再教育)
  • ステップ3:お尻・ヒップリフト(腰で頑張らない体へ)

「産後の筋トレはいつから?」と迷ったら、週数より悪露・痛み・呼吸で判断して、軽い順に進めます。

この順番を意識するだけで、腰の力みが減りやすくなります。

この3ステップを続けた先には、抱っこで腰が張りにくくなる・授乳の姿勢が楽になる・寝かしつけで腰に力が入らなくなるという変化が出やすいです。

「産後の腰がずっとつらい」と感じている人ほど、追い込む前にこの順番に戻すことが一番の近道になる場合があります。

逆に、いきなり腹筋を追い込む、反り腰で頑張る、疲労が強い日に無理をする。

この3つは回復を遠回りさせやすいので、避けてください。

悪露が増える/38℃以上の発熱/強い痛みがある日は中止して、出産した産婦人科(主治医)へ相談を優先します。

「毎日長くやる」より、短時間で回るルーティンを積むのが産後は強いです。

体調がいい日だけ少し足して、しんどい日は整えるだけでOKです。

参考文献

  1. Physical Activity and Exercise During Pregnancy and the Postpartum Period: ACOG Committee Opinion Summary, Number 804(2020)/ The American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)https://journals.lww.com/greenjournal/Fulltext/2020/04000/Physical_Activity_and_Exercise_During_Pregnancy_and.33.aspx
  2. Postpartum low-back pain(1992)/ Ostgaard HC, Andersson GB, Karlsson K / Spine, 17(1):53-55 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1531555/
  3. Diastasis recti abdominis during pregnancy and 12 months after childbirth: prevalence, risk factors and report of lumbopelvic pain(2016)/ Sperstad JB, Tennfjord MK, Hilde G, Ellström-Engh M, Bø K / Br J Sports Med, 50(17):1092-1096 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27324871/
  4. Impact of postpartum exercise on pelvic floor disorders and diastasis recti abdominis: a systematic review and meta-analysis(2025)/ Haakstad LAH et al. / Br J Sports Med https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12013572/

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この記事を書いた人

【資格】・柔道整復師(国家資格)・鍼灸師(国家資格)・NASM-PES(米国資格)

整形外科クリニックで、腰の不調・膝の不調・肩こりなどで悩む方の運動指導や、日常動作のサポートに携わっています。
クリニック、整骨院、パーソナルジムで経験を積み、痛みがある状態でも筋トレを続けるための「やりすぎない設計」を得意としています。
姿勢や動きのクセを整えながら、無理なく継続できる方法を提案します。
これまで多数のクライアントをサポートしてきました。
私自身も過去にぎっくり腰を経験しましたが、継続的な筋トレのおかげでここ10年は再発していません。
臨床14年以上の経験をもとに、「運動で人生が変わる」をテーマに発信します。

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