腰痛でもできるドローインのやり方|段階別手順と5つのつまずき解決

ドローインするブラック太郎

監修・執筆:ブラック太郎

私は柔道整復師・鍼灸師・NASM-PESとして、整形外科クリニック/パーソナルジム/整骨院で14年以上、腰の悩みと運動指導に関わってきました。

この記事でわかること
  • ドローインで「息が止まる」「腰が反る」を最短で直す手順
  • 仰向け→座位→立位の3ステップで感覚をつかむ方法
  • 反り腰タイプかどうかをその場で確認するセルフチェック
  • よくある失敗(首肩が力む・下腹に入らない・座ると丸まる)の直し方
  • 腰痛の予防と再発防止につながる習慣化の設計と頻度の目安
この記事の結論3行まとめ
  • ドローインは「下腹を固める」動きではなく、「呼吸を保ったまま体幹を支える」スイッチ
  • まず仰向けで感覚をつかみ、座位→立位の順に積み上げるのが最短ルート
  • 1回1分(5呼吸)×1日3回を途切れずに続けることが最も重要

この記事が向いている人・向いていない人

向いている人

  • ドローインをやると息が止まる、または腰が反ってしまう
  • 寝た状態ではできるのに、座る・立つと崩れる
  • 反り腰傾向があり、筋トレ前に姿勢を整えたい
  • ドローインをやってみたが「できているか分からない」

向いていない人(先にこちらへ)

ドローインをやってみたが息が止まる、下腹に力が入っている感じがしない、仰向けではできても座ると崩れる。

こうした「うまくできない」状態は、やり方が大きく間違っているのではなく、たいていどこかのステップがズレているだけです。

この記事では、腰痛でもできるドローインのやり方を、「下腹を固める」ではなく「息を止めずに腰が反りにくい形で支える」感覚を最短で身につける手順に絞って解説します。

※筋トレで腰を守るためのブレーシング(腹圧)の全体像や使い分けは、別記事「息を止めずに重さを受け止める腹圧の使い方と呼吸の整え方」でまとめています。

今日やること(最短)まず試したい人はここから

  • 仰向け(40秒)
    • 膝を立てて仰向けになります
    • 口から3秒で細く吐きます
    • 吐き終わりに、おへその下に手のひらを軽くのせて「指を内側から軽く押し返す」くらいの力を入れます(2割)
    • その力のまま、鼻で2秒だけ吸います(力をゼロにしません)
    • これを5回くり返します
  • 座位(1分)
    • 椅子に座って足裏をベタッと床につけます
    • 背もたれに寄りかからず、胸は張りません
    • 上の「吐く3秒→指を押し返す2割→吸う2秒」を5回くり返します(だいたい1分)
  • 立位(20秒)
    • 立って胸を張らず、腰を反らしません
    • 上の呼吸を1回作ります(吐く3秒→吸う2秒)
    • そのまま足踏みを5回します(腰が反らないか確認します)

できてる判定

  1. 息が止まらない
  2. 腰が反らない
  3. 肩がすくまない
目次

ドローインの「誤解」と腰痛への効果

腰痛に効くドローインのやり方の結論|「下腹を固める」より「呼吸を保ったまま支える」

ドローインは、お腹をへこませて下腹をガチガチに固める動きではありません。

結論はシンプルで、「呼吸を保ったまま体幹を支える」ためのスイッチです。

現場で多い失敗は、「お腹をへこませる」ことに意識が寄りすぎるパターンです。

ドローインで下腹を強く引き込むほど、胸がつぶれて呼吸が浅くなり、息が止まりやすくなります。

その結果、止まっている姿勢では安定して見えても、歩いたり持ち上げたりするとお腹の支えが抜けやすくなります。

ここを直したい:ドローインへの3つの誤解

  • 誤解1:下腹を固めるほど正解
    • 下腹だけを強く固めると、腰まわりがつっぱりやすくなります。
    • ドローインは「固める」より、指を内側から軽く押し返す程度の張りで支えるのが正解です。
  • 誤解2:息を止めたほうが安定する
    • 息を止めると、その場では耐えられても、動きの途中で崩れやすいです。
    • 日常や筋トレで使うなら、呼吸が続くことが条件になります。
  • 誤解3:お腹は薄いほど良い
    • へこませすぎると、胴体の前側の支えが弱くなって不安定になる人もいます。
    • 必要なのは「へこみ」ではなく「薄い張り」です。

2007年に行われた研究(Grenier&McGill)では、腹部の活性化方法によって腰椎の安定性と腰椎への負荷がそれぞれ異なることが確認されました。

強く固める方法が必ずしも安定性を高めるわけではなく、「軽い張りを保ちながら呼吸を続ける」アプローチが日常動作での腰椎保護に適しているとされています(参考文献1)。

目指す感覚は、「お腹を薄くする」ではなく「呼吸をしながら支える」です。

呼吸は浅くてもかまいません。

吐いても吸っても、下腹の力が抜けない(ゼロにならない)状態を作ります。

ドローインが腰痛で使われる理由

腰がつらい人の多くは、「動くたびに腰が反りやすい状態」になっています。

反りが強いまま筋トレをすると、腰に負担が集まりやすいです。

ある研究では、腰痛のある人は腕や脚を動かす直前に体幹の安定を担う深部の筋肉が反応するタイミングが、腰痛のない人に比べて遅れることが報告されています(参考文献7)。

なお、その後の研究ではこのタイミングのズレが腰痛の「原因」なのか「結果」なのかは議論が続いており、特定の筋肉だけを再教育する介入の効果については限定的とする見方もあります。

この記事では、ドローインを「腰痛を確実に治す方法」としてではなく、反り腰クセを整える入口の一つとして位置づけています。

ドローインは、その反りグセをいったんリセットするのに向いています。

お腹をへこませるというより、「息をしながら胴体の前と横で支える感覚」を作る練習です。

このとき主に働くのが腹横筋というインナーマッスル(深部の筋肉)で、腰まわりを内側から動的に安定させる役割を担っています。

ドローインはこの腹横筋にスイッチを入れるための、最初の一歩として位置づけられます。

整形外科クリニックやパーソナルジムの現場でも、反り腰が強いクライアントほど、まず呼吸とお腹の支えを整えるだけで動きが軽くなる場面が多くありました。

仕組みの理解はここまでで、次は実際に体で確認します。

腰を反らせやすい人ほど、最初にやる価値がある

腰を反りやすい人は、力を出そうとするときに無意識に胸を張って腰を反らせやすいです。

このクセのままフォームを覚えると、スクワットもデッドリフトも「腰を反らせて頑張る動き」になりやすいです。

まずは30秒で、今の体の状態をチェックします。

体チェック

  • まっすぐ立ち、肋骨が前に開いていないか確認します
  • 次に、軽く前屈(股関節を折るイメージ)して、腰に負担が集まる感じがないか見ます
  • いったん戻り、ドローインを10秒だけ作ります(息は止めません)
  • もう一度同じ前屈をして、「腰のつっぱり」が減るか比べます

このチェックで変化が出る人は、ドローインを練習する価値があります。

理由はシンプルで、今までは「腰を反らせて踏ん張ること」で体を支えていた可能性が高いからです。

ドローインでお腹側の支えが入ると、腰に集まっていた負担が体幹へ分散します。

当てはまったら反り腰タイプの可能性が高いです

  • 立つと下腹より先に胸が前へ出る
  • お尻を突き出す姿勢が楽に感じる
  • 反ったほうが力が入る気がする
  • 呼吸が浅く、吐くときに肩が上がりやすい

ここまでで、「腰を反らせて踏ん張る癖が出ているかどうか」と、「ドローインで楽になる可能性があるか」が確認できました。次は、迷わない手順でドローインの作り方を実技で固めます。

準備|腰が反りにくい姿勢を作る(ここで9割決まる)

ドローインは「息を吐く/下腹を軽く張る」より先に、姿勢の形でほぼ決まります。

腰痛でもできるドローインのやり方として、まず押さえるべきはこの姿勢の土台です。

背骨は本来S字のカーブを持っており、そのカーブが崩れた状態では、どれだけ下腹に力を入れても首・背中・腰で踏ん張りやすくなります。

ここでは、まず腰が反りにくい姿勢を作ります。

腰が反る人は、まず胸と骨盤をそろえる

狙うのは「丸める」でも「反る」でもありません。

肋骨(胸)と骨盤が、同じ向きを向いている姿勢です。

立ったままの姿勢の作り方(図:横からの姿勢)

  • 足は腰幅、つま先は軽く外でOKです
  • 胸を張りすぎない(胸が前に出ない)
  • お尻を突き出さない(腰を反らしすぎない)
  • 頭は上に伸ばす(首だけ長くする)

できてるかの目安・鏡で確認(図:OK/NG例)

  • みぞおちが前に突き出ていない
  • おへそが上を向きすぎていない
  • 腰の反りが強くなっていない

※ここで大事なのは「腹筋で丸める」ではありません。

胸を前に出しすぎず、腰を反らしすぎない位置に戻すだけでOKです。

よくある失敗(この2つがあると下腹に入りにくい)

次のどちらかがあると、下腹に力を入れても効きにくくなります。

現場でもこの2つがあると、下腹を頑張ったつもりでも首肩や腰で耐えてしまう人が多いです。

下腹に入りにくくなる2つの失敗

  • 失敗①胸が前に出る
    • 見た目:胸が突き出て、あごが上がりやすい
    • 起きること:息が胸の上だけで動き、下腹が抜けやすい
  • 失敗②腰を反らせすぎる
    • 見た目:お尻が後ろに出て、腰が反って見える
    • 起きること:下腹が入りにくく、背筋(腰まわりの筋肉)が先に緊張しやすい

この2つを消すだけで、ドローインが「入りやすい形」になります。

形を整えるコツ(吐く息を使う)

形が作れない人は、吐く息で胸を落ち着かせるのが早いです。

  • 口から「ふーっ」と細く吐きます(2〜3秒でOKです)
  • 吐いている間だけ、胸が前に出ない位置へ戻します
  • 腰を丸める必要はありません(腰はそのままでOKです)

ここまでで、ドローインを入れやすい姿勢ができます。次は「どこを感じればいいか」を手で確認します。

手の当て方(下腹と胸の前をチェックする)

ドローインで迷う人は、力の入れ先がズレていることがほとんどです。

手を当てて「正しい場所に入っているか」を確認します。

下腹のチェック(図:おへその下)

  • 指をそろえて、おへその下2〜3横指に軽く当てます
  • 押し込みません(触れるだけでOKです)
  • 吐き終わりに、指が内側から少し押し返される感じが出ればOKです
  • ※へこませるより「押し返す」が目印です

胸の前のチェック(図:みぞおちの下)

  • もう片方の手を、みぞおちの少し下に当てます
  • 呼吸をしても、胸がグッと前に飛び出さないか確認します
  • 正解は「息が止まらず、胸が前に突き出ない」です

一言でまとめると

  • 下腹:指を軽く押し返す程度に張る(へこませない)
  • 胸:前に突き出さず、呼吸を続ける

この形とチェックができたら、実技はシンプルになります。

次のパートで、仰向けで「吐く→下腹を張る→吸っても残す」を作ります。

実技①仰向け|腰痛でもできるドローインのやり方・最初の一歩

ドローインは、まず仰向けがいちばん安全です。

立ったままだと姿勢のクセが出やすく、腰や首で踏ん張ってできた気になりやすいです。

仰向けなら体を支える余計な力が抜けるので、「息を止めずに下腹へ力を入れる」練習がやりやすくなります。

※痛みが増える場合は中止してください。

しびれが広がる/力が入りにくいなどがある場合は、自己判断で続けず医療機関へ相談するのが安全です。

呼吸の手順(吐いて→下腹を押し返す→吸っても押し返しを残す)

大前提として、息止めはNGです。

息を止めた時点で、ドローインではなく「踏ん張り」になります。

腰痛対策として狙うのは、動いても息が止まらない支え方です。

実際に、腰椎の力学的安定性を調べた研究では、腹腔内圧を適切に保ちながら呼吸を続ける能力が、日常の動作中における腰椎の保護に関わることが示唆されています(参考文献8)。

息を止めずに支えることが、動作中の安定につながる根拠がここにあります。

スタート姿勢(図:仰向けの基本)

  • 仰向けで寝て、膝を立てます(角度はだいたい90度、足は腰幅)
  • 腰のすき間は少しでOK。腰を床に押し付けません(腰を押し付けなくていい理由はFAQQ2を参照)
  • 顎は軽く引き、首の後ろを長くします(顎を上げません)

手順

①息を吐く

  1. 口から「ふーっ」と細く吐きます(2〜3秒)
  2. 吐いている間、胸がグッと持ち上がらないようにします(胸を張りません)

②下腹を押し返す

  1. おへその下に、手のひらを軽くのせます(慣れてきたら指2本で触れてOKです)
  2. 吐き終わりに、下腹で「手(または指)を内側から少し押し返す」くらいの力を入れます(2割)
  3. 「2割」の目安:コップ1杯の水を持ち上げるときの腕の力、または紙を指で軽く押さえる程度です。
  4. へこませるより「押し返す」です

③吸っても崩さない

  1. 鼻から小さく吸います(1〜2秒)
  2. 吸っても、手(指)への押し返しがフッと弱くならないように維持します
  3. 押し返しがゼロにならなければOKです

これを5呼吸くり返します。

よくある失敗(図:NG例)

このサインが出たらやり直し

  • 吐いたあとに息が止まる(止めた瞬間に別物です)
  • 下腹を強くへこませて、お腹が板みたいに固くなる
  • 吸うときに胸だけが持ち上がって、腰が反りやすくなる

現場でも「吐けるのに、吸った瞬間に腰が反る」人が多いです。

ここがドローインの肝になります。吸っても下腹の押し返しが残れば合格です。

できた判定(腰が反らない/首肩が楽/呼吸が続く)

正しくできているかは、感覚ではなくチェックで決めます。

OKの目安チェック(✓が多いほどOK)

  • 呼吸が止まらない(吐く→吸うが続く)
  • 吸っても下腹の「押し返し」が少し残る
  • 腰のすき間が増えない(反りが強くならない)
  • 首と肩が楽(肩がすくまない、顎が上がらない)
  • 太ももがつりそうにならない(足で踏ん張っていない)
  • 顔がしかめ面にならない(力みが少ない)

NGのサイン(出たらやり直し)

  • 息を止めたくなる
  • 腰が反って、腰の下のすき間が大きくなる
  • 首がつらい、肩が上がる
  • 下腹を強くへこませて、呼吸が浅くなる

まずは「OK」を1回作れればOKです。

回数を増やすのはそのあとで十分です。

次のパートでは、この合格感覚を保ったまま、座位や立位へつなげていきます。

実技②座位(椅子で日常に繋げる)

座位で腹圧を確かめるブラック太郎

仰向けでできても、座ると急にできなくなる人は多いです。

理由はシンプルで、座ると骨盤の位置が崩れやすく、反り腰の人は腰を反らせてバランスを取ってしまうからです。

座位では「座ったままでも息を止めずに下腹で支える」を練習します。

これができると、デスクワーク中や立ち上がりの際の腰への負担が軽減されやすくなります。

椅子で腰が反る人の調整(高さ・足・骨盤)

座った瞬間に腰が反る人は、フォームの前に「座り方の条件」を整えるほうが早いです。

条件が合っていないと、下腹に入れようとしても腰で踏ん張りやすくなります。

①座面(図:座面の高さと深さ)

  • 高さは「足裏がベタッと床につく」が基準です
  • できれば膝は90度前後にします
  • 奥まで深く座りすぎず、背もたれに寄りかかりすぎない位置を選びます
  • ※座面が高いと骨盤が後ろへ倒れて丸まりやすいです
  • ※逆に低すぎると、上体を起こすために腰を反らせやすくなります

②足位置(図:足の位置の違い)

  • 足は腰幅、つま先は軽く外でOKです
  • かかとを体の真下に近づけるように、足を少し引きます
  • 足を前へ投げ出さないようにします(反り腰の人ほど重要です)

足が前に行くほど、上体を起こすために腰が反りやすいです。まずは足を引いて、下腹で支えやすい形を作ります。

③骨盤(図:坐骨に乗る→真ん中で止める)

坐骨(お尻の下の骨)に乗る感覚を作ります。坐骨が分かりにくい人は、片方ずつでOKです。

  • 右のお尻の下に手を入れて、骨が当たる場所を探します
  • 左も同じように探します
  • 左右どちらにも骨が当たる位置が「坐骨に乗れている」目安です

次に、骨盤の位置を真ん中にします。

  • いったん少しだけ反ってみます
  • 次に少しだけ丸めてみます
  • その真ん中で止めます(ここがスタート位置です)

ここでのコツは、腰を丸めた姿勢で固定しないことです。

丸めすぎると胸がつぶれて呼吸が浅くなり、結局また腰を反らせて戻ろうとする人が多いです。

狙いは「坐骨に乗ったまま、呼吸が続く位置」です。

デスクワーク中に1分練習する方法

座位のドローインは、時間を長く取るより「短く何度もやる」ほうが続きます。

おすすめは、1分だけを決めた場面で毎日やる方法です。

1分のやり方

  1. 椅子に浅く座り、足裏を床にベタッとつけます
  2. かかとを少し引き、坐骨に乗ります(腰を反らせません)
  3. 口から2〜3秒吐きます(息は止めません)
  4. 吐き終わりに、おへその下に手(慣れたら指2本)を当てます
  5. 下腹で手(指)を内側から少し押し返します(2割)
  6. 鼻で小さく吸っても、押し返しをゼロにしません

これを5呼吸やります(だいたい1分です)。

※息を止めると、仕事中に再現できません。座ったままでも「吐く→吸う」が続くことを最優先にします。

続けるコツ|やる場面を1つ決める

次のどれか1つに決めて、毎回その場面で1分だけやります。

  • PCを開いて作業を始める前の1分
  • トイレから戻って座った直後の1分
  • 会議が始まる前の待ち時間の1分
  • コーヒーや水を飲んだ直後の1分
  • メールを送信した直後の1分

現場でも、回数を増やすより「やる場面を固定した人」のほうが定着しやすかったです。

完璧にやろうとせず、まずは1日1回で十分です。慣れたら2回に増やします。

座位で「息を止めずに下腹で支える」ができると、長時間座ったあとの腰のしんどさが出にくくなります。

次は、この感覚を立位や筋トレ前の動きへつなげます。

実技③立位(筋トレ前に腰が反らない形を10秒で作る)

立った姿勢は、腰が反りやすい人ほどクセが出やすいです。

だから立位のドローインは、長く頑張る練習ではありません。

筋トレ前に10秒だけ「息を止めずに下腹で支える形」を作って、動いても崩れないか確認します。

これができると、最初の1セットから腰が反りにくくなります。

現場でも、仰向けではできても立つと腰が反る人が多かったので、筋トレ前は「10秒で作って動いて確認」を先にやります。

10秒で形を作る/足踏みで崩れないか確認する

①10秒で形を作る

  • 足は腰幅、つま先は軽く外でもOKです
  • 胸を張りません(みぞおちが前に突き出ない)
  • お尻を突き出しません(腰を反らせない)
  • 頭は上に伸ばします(首だけ長くします)

呼吸で下腹の押し返しを作る

  • 口から2〜3秒吐きます(息は止めません)
  • 吐き終わりに、おへその下に手(慣れたら指2本)を当てます
  • 下腹で手(指)を内側から少し押し返します(2割)
  • 鼻で小さく吸っても、押し返しをゼロにしません
  • ※ここでの正解は「へこませる」ではなく「押し返す」です

動いて確認(腰が反る/息が止まる/押し返しが消えるをチェック)

形が作れたら、崩れチェックの中から1つだけやります。

目的はトレーニングではなく、動いた瞬間に崩れるかの確認です。

ここで見るのは次の3つです。

  • 腰が反るかどうか
  • 息が止まらないかどうか
  • 下腹の押し返しがゼロにならないかどうか

崩れチェック

  • 足踏み5回
  • かかと上げ5回
  • ミニヒップヒンジ5回(お尻を少し引くだけ。深くしゃがみません)

OKの目安

  • 動いても「吐く→吸う」呼吸が止まらない
  • 腰が反らない
  • 肩がすくまない
  • 吸っても、おへその下の手が軽く押され続ける感じが残る

うまくいかなかったらこれをやる(直すのは1つだけ)

  • まず「吐く息」を少しだけ長くします(2秒→3秒)
  • それでも腰が反るなら、いったん座位に戻してOKです(座位で合格を作ってから立位に戻るほうが早いです)

筋トレ前の使い方

  • トレーニング前に、立位で10秒作ります
  • 足踏み5回で崩れないか確認します
  • 崩れなければ、そのまま1セット目へ入ります(息は止めません)

次のパートでは、「腰が反る」「首肩が力む」「息が止まる」など、よくある失敗をその場で直す方法をまとめます。

つまずき別の直し方(よくある失敗を最短で修正)

ドローインは「できない」のではなく、たいてい「どこかがズレている」だけです。

ここでは、現場でも多い失敗を5つに絞り、その場で直す手順をまとめます。

直すのは1回につき1つだけにします。

理由はシンプルで、同時に直そうとすると「何が効いたのか」が分からなくなり、余計にできなくなるからです。

5つのつまずきに共通するOKの目安

どのつまずきを直した後も、この3点で確認します。

  • 呼吸が止まらない(吐く→吸うが続いている)
  • おへその下の手が軽く押される感じが残る(吸っても消えない)
  • 顔がしかめ面にならない・肩がすくまない(力みすぎていない)

腰が反る(直す順番:胸→骨盤→呼吸)

腰が反るときは、順番が大事です。

先に胸が前へ出て、その後に腰が反り、最後に息が止まりやすくなります。

なので胸→骨盤→呼吸の順で直すと早いです。

①胸(最優先)

  • 口から2〜3秒吐きます
  • 吐いている間、みぞおちが前に突き出ないようにします
  • ※胸を下げるのではなく「前に出さない」がポイントです

②骨盤

  • 椅子なら「坐骨に乗る」位置を作ります
  • 立位なら「お尻を突き出さない」位置に戻します
  • 目安は、腰を反らせて踏ん張らなくても保てる位置です

③呼吸

  • 口から2秒吐きます(長く吐かない)
  • 吐き終わりに、おへその下の手(指)を軽く押し返す(2割)
  • 鼻で小さく吸っても、押し返しをゼロにしません

この失敗だけの確認ポイント

  • 吸っても腰が反らない(これが直ったかどうかが判定基準)

首肩が力む(直す順番:下腹→肩→首→吐き方)

首肩が力む人は、下腹ではなく上半身で踏ん張っていることが多いです。

ここは「力を抜く」が正解になります。

①下腹の力を弱くする

  1. 「おへその下の手(指)を軽く押す」だけにします
  2. 目安は、指(手)が少し押される程度です(強く押し返しません)

②肩の位置を戻す

  1. 肩を1回すくめて、ストンと落とします
  2. そのあと、肩が耳に近づいていないかを確認します(近いなら肩が上がっています)

③首の位置を戻す

  1. 顎を軽く引いて、目線はまっすぐにします
  2. 顎が上がっていたら、首に力が入りやすい状態です

④吐き方を弱くする

  1. 吐く息は、2秒で軽く吐くだけにします(強く吐きません)
  2. 息を強く吐くと、首肩に力が入りやすいです

迷ったらここだけチェック

  • 下腹:指(手)が少し押される程度で止める(1〜2割)
  • 肩:耳に近づけない(肩をストンと落とす)
  • 首:顎を軽く引く
  • 息:2秒で軽く吐く

それでも力むなら、いったん仰向けからやり直します。

呼吸できない/息が止まる(直す順番:吐く→吸う→下腹)

息が止まるのは、やり方が大きく間違いというより「力を入れすぎ・吐きすぎ」が原因のことが多いです。

ここは割り切って、浅くてもいいので「呼吸をとめない」に切り替えます。

①吐く時間を短くする

  1. 吐くのは1〜2秒でOKです(長く吐きません)

②吸う量を減らす

  1. 鼻で小さく吸います(深呼吸は不要です)
  2. 胸がグッと持ち上がるほど吸わないようにします

③下腹の力を半分にする

  1. おへその下の手(指)が「少し押される程度」で止めます
  2. 強く押し返しません(目安は1割でもOKです)

それでも呼吸が止まるなら、まだ感覚をつかめていない可能性があります。

仰向けからやり直し、まず「呼吸が続けられる」ことを目指します。

座位に戻してもOKです。立位にこだわらないほうが早く上達します。

浅くても呼吸が途切れずに続くことを優先してください。

下腹に入らない(直す順番:触り方→イメージ→順番)

下腹に入らないときは、筋力不足より「感じ方(当て方・吐き方)」の問題が多いです。

選択肢を用意するので、合うものを1つだけ試してください。

触り方を変える(最短)

  1. まず手のひらを、おへその下に軽くのせます(押し込みません)
  2. 吐き終わりに、下腹で手のひらを「少し押す」くらいにします
  3. 吸っても、その押す感じがゼロにならなければOKです
  4. ※指2本より、手のひらのほうが感じやすい人が多いです

言葉のイメージで変える(合うもの1つ)

  1. 吐き終わりに、おへその下で手のひらを少し押す
  2. 吸っても、その押す感じをゼロにしない
  3. 下腹がフッと抜けないように、軽く止める
  4. お腹を細くするより、息を吸っても形が崩れないようにする

順番を変える(入りやすい順)

  1. 立ったままだと姿勢のクセが出て、下腹が分かりにくい日があります
  2. その日は「仰向け→座位→立位」の順で戻すとつながりやすいです

※「やるほど痛い」「翌日に悪化する」場合は、回数よりも負荷と手順の見直しが先です。

筋トレ全体の危険パターン整理休む期間と再開の目安は以下の記事も参考にしてください。

座ると丸まる(骨盤が後ろに倒れる)(直す順番:坐骨→胸→呼吸→下腹)

座って丸まる人は、下腹に入れようとしても「胸がつぶれて息が浅くなる」ことが多いです。

この状態だと、下腹に力を入れようとしても「手が押される感じ」が出にくくなります。

まずは丸まりを直してから同じ手順をやります。

1分で直す手順

  1. 椅子に浅く座り、足裏を床にベタッとつける
  2. 胸は張らない(みぞおちは前に突き出さない)
  3. お尻の下で「坐骨(お尻の下の骨)」が当たる位置を探します
  4. 分かりにくい人は、片方ずつお尻の下に手を入れて骨の位置を確認します
  5. いったん少しだけ丸めて、次に少しだけ反ってみます
  6. その真ん中で止めます(丸めすぎない/反りすぎない)
  7. 口から2〜3秒吐きます(息は止めません)
  8. 吐き終わりに、おへその下に手(慣れたら指2本)を当てます
  9. 下腹で手(指)を内側から少し押します(2割)
  10. 鼻で小さく吸っても、押す感じをゼロにしません
  11. これを5呼吸(約1分)くり返します

ドローインはいつやる?回数・頻度の目安(1分×3回)

ドローインは、まとめて長くやるより、1分を何回か入れるほうが続きます。

理由はシンプルで、短いほうが忘れにくいからです。

まずは1分×3回だけでOKです。

やることは「5呼吸」だけ。

これで1分になります。完璧を目指すより、毎日途切れないことを優先してください。

おすすめのタイミング(まずはこの3回だけ)

  • :起きて椅子に座ったら1分→朝は体が固く、腰が反りやすいので整えやすいです
  • :デスクに座った直後の1分→座った姿勢のクセが出る前に戻せます
  • :筋トレ前(または風呂前)に1分→動く前に「息を止めずに支える形」を作れます

この3回が安定したら、追加は腰が不安な場面だけで十分です。

例:車から降りた直後/荷物を持つ前/長時間座ったあと。

1分の中身(毎回これだけ)

  • 口から2秒吐きます
  • 吐き終わりに、おへその下の手が少し押される程度で止めます(1〜2割)
  • 鼻で小さく吸っても、押される感じをゼロにしません
  • これを5呼吸くり返します

※息止めはNGです。止めると日常で再現できません。

回数を増やす基準(迷わないルール)

  • 腰が反りやすい日:+1回(合計4回)
  • 筋トレの日:トレ前に+1回
  • 忙しい日:1回だけでもOK(ゼロにしません)

現場でも、最初から10分やる人より、1分を複数回できた人のほうが定着しました。

ドローインは「習慣」で効いてきます。

世界保健機関(WHO)の2023年の慢性腰痛ガイドラインでも、継続的な身体活動が慢性腰痛の状態改善に有効とされており、短時間でも毎日続けることの意義が支持されています(→参考文献5)。

ドローインの次にやること

ここまでの手順で、仰向け→座位→立位のドローインが安定してきたら、ひとまず合格です。

「息が止まらない」「腰が反らない」「吸っても押し返しが残る」の3つが立位の足踏みで崩れなくなったタイミングが、次のステップに進む目安です。

ただし、筋トレで腰を守るには「もう一段階上のやり方」があります。

スクワット・デッドリフトで腰を守る腹圧(ブレーシング)は次の記事へ

まず立位のドローインが安定してから読んでください。

立位が安定してきたら、次は「重さをかけた状態でも腰が反らない支え方」が必要になります。

ドローインは息を止めずに体幹を支える準備ですが、スクワットやデッドリフトのように重さが増えると、ドローインだけでは支えが足りない場面が出てきます。

そのときに必要なのが、ブレーシング(腹圧)を使って、お腹の前だけでなく横・背中も含めて胴体全体で支える方法です。

次の記事では、以下の内容をまとめています。

  • ブレーシング(腹圧)とドローインの使い分け
  • 腹圧を入れる呼吸の作り方(吸う/吐くの配分)
  • 持ち上げ動作で崩れない腹圧のキープ
  • 腰を守るためのフォーム全体の考え方

まとめ|腰痛でもできるドローインのやり方・今日やることだけ再確認

ドローインは「お腹をへこませて固める」動きではありません。

息を止めずに、腰が反りにくい形で体幹を支えるための練習です。続けることで腰痛の予防と再発防止の一助になる場合があります。

まずは1分(5呼吸)×1日3回を目安に続けてください。

  • 朝(座ったら)
  • 昼(座った直後)
  • 夜(筋トレ前or風呂前)

の3回で十分です。

筋トレで腰を守るには、次の段階(腹圧・ブレーシング)も必要になります。

ブレーシングや腹圧の全体像と使い分けは以下の記事にまとめています。

よくある質問(FAQ)

Q&Aの看板を持つブラック太郎

Q1痛みがある日もドローインをやっていいですか?

A:痛みが強い日や、やるほど痛みが増える日はやめてください。

まずは休めることが優先です。

一方で「痛みは軽いけど不安」という程度なら、仰向けで5呼吸だけに落として試すのはありです。

そのときも、息を止めない・強く押し返さない(1〜2割)を守ってください。

しびれが広がる、力が入りにくいなどがある場合は自己判断で続けず医療機関に相談してください。

Q2腰を床に押し付けるのが正解ですか?

A:押し付けません。

すき間は「少し」でOKです。

腰を床に押し付けようとすると、腹筋で丸める動きになりやすく、呼吸も浅くなりがちです。

狙いは、腰の形を無理に変えることではなく、呼吸を続けたまま下腹の支えを作ることです。

Q3何日くらいで感覚が分かるようになりますか?

A:早い人はその場で「少し楽」を感じる場合がありますが、多くの人は数日〜2週間ほど続けることで「作りやすさ」が安定してくることが多いです(個人差があります)。

コツは、長くやるより「1分×3回」を途切れずに続けることです。

「吐いているのに息が止まる」「吸うとゼロになる」が続く場合は、仰向けに戻して強さを下げてください。

Q4ドローインは意味ないって聞きました。本当にやる価値ありますか?

A:意味がないのではなく、「息が止まる」「腰が反る」「下腹ではなく首肩で踏ん張る」形だと効果を感じにくいだけです。

この記事で解説している腰痛でもできるドローインのやり方どおりに、吐く→おへその下の手が少し押される→吸ってもゼロにしない、が作れると、反り腰の人ほど「腰で踏ん張る癖」が出にくくなります。

なお、複数の研究をまとめた調査(2006年のシステマティックレビュー)によると、体幹の安定化を目的とした運動は慢性腰痛のある人の痛みと機能改善に一定の効果が示されており、正しい手順で継続した場合には腰痛ケアの一助になる可能性があります(参考文献9)。

まずは仰向けで5呼吸だけでOKです。

Q5ドローインとブレーシング(腹圧)の違いは何ですか?

A:一言で言うと、ドローインは「準備」、ブレーシングは「本番」です。

ドローインは呼吸を保ちながら体幹を支える感覚を作る入口で、ブレーシングはスクワット・デッドリフトなど重さがかかる動作の直前にお腹全周を360度に張って腰椎を強く保護する方法です。

使い分けの詳細は息を止めずに重さを受け止める腹圧の使い方と呼吸の整え方で解説しています。

参考文献

  1. Grenier SG, McGill SM. Quantification of lumbar stability by using 2 different abdominal activation strategies. Archives of Physical Medicine and Rehabilitation. 2007;88(1):54-62. doi:10.1016/j.apmr.2006.10.014 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17207676/
  2. Hodges PW, Kaigle Holm A, Holm S, et al. Intervertebral stiffness of the spine is increased by evoked contraction of transversus abdominis and the diaphragm: in vivo porcine studies. Spine. 2003;28(23):2594-2601. doi:10.1097/01.BRS.0000096676.14323.5C https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3445194/ (横隔膜・腹横筋の活性化による脊椎剛性への影響。腰痛者のTrA機能評価の根拠として参照)
  3. NICE Guideline NG59. Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management. https://www.nice.org.uk/guidance/ng59
  4. NHS Scotland / Right Decisions. Cauda equina syndrome(緊急性のあるサインの整理) https://rightdecisions.scot.nhs.uk/nhs-garment/professional-guidelines/cauda-equina-syndrome/
  5. World Health Organization. Guidelines on chronic primary low back pain. (2023) https://www.who.int/publications/i/item/9789240081789
  6. American College of Physicians (ACP). Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain (Clinical Practice Guideline). Annals of Internal Medicine. 2017. https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M16-2367
  7. Hodges PW, Richardson CA. Inefficient muscular stabilization of the lumbar spine associated with low back pain: a motor control evaluation of transversus abdominis. Spine. 1996;21(22):2640-2650. doi:10.1097/00007632-199611150-00014 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8961451/ (腰痛のある人における深部体幹筋の活動タイミングの遅延を示した基礎研究)
  8. Cholewicki J, McGill SM. Mechanical stability of the in vivo lumbar spine: implications for injury and chronic low back pain. Clinical Biomechanics. 1996;11(1):1-15. doi:10.1016/0268-0033(95)00035-6 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11415593/ (腹腔内圧と腰椎安定性の力学的関係を示した研究。呼吸継続による安定確保の根拠)
  9. Ferreira PH, Ferreira ML, Maher CG, et al. Specific stabilisation exercise for spinal and pelvic pain: a systematic review. Australian Journal of Physiotherapy. 2006;52(2):79-88. doi:10.1016/s0004-9514(06)70043-5 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16764545/ (体幹安定化エクササイズの効果に関する信頼性の高い複数の研究をまとめたシステマティックレビュー)

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この記事を書いた人

【資格】・柔道整復師(国家資格)・鍼灸師(国家資格)・NASM-PES(米国資格)

整形外科クリニックで、腰の不調・膝の不調・肩こりなどで悩む方の運動指導や、日常動作のサポートに携わっています。
クリニック、整骨院、パーソナルジムで経験を積み、痛みがある状態でも筋トレを続けるための「やりすぎない設計」を得意としています。
姿勢や動きのクセを整えながら、無理なく継続できる方法を提案します。
これまで多数のクライアントをサポートしてきました。
私自身も過去にぎっくり腰を経験しましたが、継続的な筋トレのおかげでここ10年は再発していません。
臨床14年以上の経験をもとに、「運動で人生が変わる」をテーマに発信します。

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